2021/01/27
社側「お金もらえると思うのは甘え」
二度目の緊急事態宣言発令に伴い飲食店の営業時間が短縮される中、大手飲食チェーンで働く「シフト制」のパート、アルバイトらに必要な支援が届かない。国は大企業に休業手当の支払いを呼び掛けるが、企業側は「支払い義務はない」と否定的。女性や若者の多い非正規従業員にコロナ禍のしわ寄せが集中しており、支援策の拡充を求める声が上がっている。(岸本拓也)
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「金をくれと言えばもらえると思うのは甘えではないか」。神奈川県内の大手カフェで働く三十代のアルバイト女性は会社の総務担当者にこう言い放たれた。昨春以降のコロナ禍でシフトが削減され、収入は四割減に。時短分の休業手当を求めて会社と団体交渉に臨んだが、返ってきた担当者の発言に言葉を失った。
男児二人を抱え、生活に不安が募る中、女性は「シフトのバイトだからと会社からも国からも補償されずに見捨てられている。悔しさと悲しさしかない」と涙ながらに訴える。
緊急事態宣言で最も影響を受けているのが飲食店業界。そこで働く人々の大半は店長やマネジャーなど一部の幹部を除き、あらかじめ勤務日が明確に決まっていないシフト制労働者だ。
シフトが確定していない期間については、企業が休業手当の支払い義務がないと解釈することが多く、行政も指導には後ろ向きだ。企業が手当を支払わない理由もここにある。
ただ政府はコロナ禍の特例で、休業手当の支払い義務の有無を問わず、シフト削減分でも休業手当を支払えば、雇用調整助成金(雇調金)で助成することを決定。大企業の助成率も最大100%に引き上げた。
実質的に企業負担はなくなったが、大手外食関係者は「コロナ禍でバイトの雇用を維持しても先がない。拠点も人も減らしたいのが本音で、雇調金を使う以前の問題だ」と話す。
野村総研は、シフト削減などで仕事が激減しても休業手当を受けていないパート、アルバイトが女性だけで約九十万人いると推計。野党も「休業支援金の対象に大企業のシフト制労働者を加えるべきだ」と求めるが、菅義偉政権は否定的な姿勢を崩していない。
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