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【愛知】コロナ一宮市の追加採用試験 コロナ禍「安定性魅力」

2021/01/21

一般事務 応募 28倍

コロナ禍で、就職内定率が低下した今春卒業予定の大学生らを対象に、一宮市が今月、追加の職員採用試験を行った。一般事務への応募は、採用予定数の二十八倍に。試験日に受験者らに話を聞くと、景気が落ち込む中、安定した公務員職の人気の一端がうかがえた。(下條大樹)

 ◇ ◇ ◇

 「この市が無くならない限り、市役所の仕事はある。コロナで、安定性の魅力を一層感じた」。九日に同市役所であった一次試験を終え、浜松市の二十代男性アルバイトはそう話した。大学を卒業後、二年前から公務員を目指し、勉強を続けてきた。インターネットで一宮市の追加募集を知り、受験を決めた。

 文部科学、厚生労働両省の調査では、今春卒業予定の大学生の昨年十二月時点の就職内定率は前年同期比4・9ポイント減の82・2%。こうした状況を受け、市は昨年十一月三十日~十二月十六日に追加採用の希望者を募集。五人程度の一般事務に百三十八人、若干名の消防・救急救命士、土木にはそれぞれ四十人と三人の応募があった。二次試験を経て、内定者は二月下旬に決まる。

 昨年夏の採用試験は、一般事務の倍率は約十二倍で例年並みだった。

 人事課の担当者は「追加募集で倍率が高くなったのは、やはり内定率低下や、他の募集がなくなった時期だからではないか」とみる。

 追加試験の受験者の一人、市内在住の二十代女子学生は夏の採用試験では縁がなく、再チャレンジを決めた。公務員になれなかった場合も想定し、並行して進めた一般企業への就職活動では、コロナ禍で合同説明会が中止となるなど、企業探しに苦労した。メーカー一社から内定をもらっているが、「地元で働け、安定するのでやはり公務員がいい」と言う。

 扶桑町の二十代男子学生も医療関係会社の内定を得ているが、家から近く、条件が良いことから受験を決めた。コロナ禍の影響を受けた就職戦線を振り返り、「従来の就活が分からないが、やりにくいと感じたことは特にない。交通費がかさまず、オンラインでできたので基本的には楽だった」と話した。

今月行われた一宮市の追加採用試験を受ける学生ら=同市役所で
今月行われた一宮市の追加採用試験を受ける学生ら=同市役所で