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【暮らし】オンライン会議 ストレスの元に

2020/12/21

「部屋が汚い」 言及 
むやみに2人きり要求

家が「職場」だからこそ配慮を

 新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークの普及など働く環境の変化を受け、新しいタイプのハラスメントが注目されている。ビデオ会議システム「Zoom」などを介したやりとりで、相手に不快な思いをさせる「オンラインハラスメント」だ。企業向けに、オンライン会議でのハラスメント対策を含む研修を提供する企業も現れた。(佐橋大)

 十一月下旬、関東に本社がある企業の従業員向けのオンラインハラスメント研修。参加者は自宅や会社などそれぞれの場所から、講師の藤山晴久さんの話を聞いた。藤山さんは、ハラスメントの「グレーゾーン問題」に特化した研修を提供するインプレッション・ラーニング(東京)代表で、七月からオンライン上の対策についても伝え始めた。

 同社が五~六月、インターネットでテレワーク中の二十~六十代の男女千人に聞いた調査によると、ほとんどの人が緊急事態宣言が出た四月前後から初めてテレワークを経験。ストレスを訴えた人は半数を超え、オンライン会議を理由に挙げたのは56%に上った。寄せられた声を基にした注意点とは-。

 四つ以外にオンライン飲み会も「断りづらい」「抜けたくても退出しにくい」などストレス源となる可能性がある。無理強いしないよう気を付けたい。

 挙げられた言動は実際の職場でもリスクがあることばかりだ。ハラスメントの相談窓口は各地の労働局。愛知労働局雇用環境・均等部の指導課によると、オンラインの環境が「職場」に該当し、そこでの行為がハラスメントに当てはまれば認められる。

 藤山さんは、上司も部下も「自宅が『職場』である自覚を持ち、私生活が混在する職場だからこその配慮を」と話す。

    ◇

●私生活に関心を寄せる
 言われて不快だった言葉として挙がったのは「カーテンがかわいい」「君の部屋は汚いね」など。「私生活の情報に関心を寄せることはリスクになるという意識の徹底を」と藤山さん。「画面に映る情報で雑談をする必要はない。本題に集中して」と訴える。一方で「在宅勤務の場合は自宅が『職場』。部屋を片付けるなど努力が必要」とも強調。バーチャルな背景を使うのも手だ。

●パソコン疎いと見下す
 パソコンの知識がないことを見下す言動は部下から上司であってもパワハラになる。同じことを何度も聞かれたら専門部署を紹介するなどしたい。

●「1対1」 セクハラにも
 多かったのは、電話やメールで済む用件なのに2人きりのオンライン会議に誘われるという意見だ。「顔を合わせて話すのが大事」という価値観が原因の場合もあれば、セクハラ的な要素が絡む例も。不快なら、目的や意図を確認するといい。ハラスメントの予防や起きたときに証拠として残すには、スマートフォンなどで録画するのもいい。

●通信環境の悪さを罵倒
 画面が落ちたり、途切れたりしたときに「なんで消えるんだ」「いつも聞き取りづらい」といった言葉を投げ掛けるのはNG。舌打ちをする、ため息をつくなどはハラスメントの芽だ。嫌な思いをしたら、録画や録音をし、担当部署に相談するといい。