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【社会】不妊治療と仕事 83%「両立困難」

2020/11/16

順天堂大など 受診女性調査

 不妊治療をしている女性の83・0%が仕事との両立を困難と感じ、治療のために仕事を急に休まなければならなかった人は半数以上いることが、順天堂大などの研究チームの調査で分かった。多くが職場の理解や柔軟に仕事を休める制度を求めており、調査した順天堂大の遠藤源樹准教授(公衆衛生学)は「経済的支援も必要だが、職場に不妊治療の実情を知ってもらうことも大切だ」と指摘する。

 調査は年2018年~12月、国内4カ所の不妊治療専門外来を受診していた女性患者に直接実施。22~54歳の約1730人から回答を得た。

 調査結果によると、患者の68・6%が「働いている」と回答。このうち排卵のタイミングなど治療に合わせた急な休み(突発休)を経験したことのある人は58・3%、体外受精の経験者では65・7%に上った。

 職場に不妊治療中であることを伝えていない人は40・0%で、5人に2人の割合。職場でのハラスメントを受けた人は8・4%にとどまるが、相手を複数回答で尋ねると七割が上司からで「また休むの?」など急な休みへの嫌みが目立った。

 平均不妊期間は3・1年。治療費は100万~300万円が全体の35・2%と最多で、300万円以上も15・3%。

 自由記述では「職場の理解やサポートが欲しい」「前日や当日の半休申請が受け入れられると病院に通いやすくなる」との声が寄せられた。

 遠藤准教授は「企業は社員が不妊治療を続けやすい制度と風土づくりに努めるだけでなく、学校や職場で不妊治療や妊娠に関する教育を充実させることが重要だ」と強調した。