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【三重】みえ経済/障害者就労へテレワーク活用 11事業所で県が訓練

2020/11/11

百五銀 人型ロボット操作し客とやりとり

 県が県内の十一事業所で、テレワークを活用した障害者の就労訓練を始めた。参加者はリモートで、人型ロボットを活用した受け付け業務やパソコンを使った顧客データ入力などに携わっている。県雇用経済部の担当者は「場所や時間にとらわれない働き方が進めば、障害の有無にかかわらず、みんなが働きやすい環境につながる」と語る。(上井啓太郎)

 津市の百五銀行岩田本店棟。店内に入ると、ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」が「こんにちは」と出迎える。近づくとすかさず「手の消毒にご協力ください」と、消毒液の方向を手で指した。「好きな色は何ですか」と質問すると、少し間が空いて「赤です」と答えてくれた。

 来店客にあいさつしたり、案内のため話し掛けたり。ペッパーは県内外の障害者が自宅や作業所から操作している。

 その一人で、普段は津市の作業所で職業訓練を受けている田村恭子さん(27)は、発達障害がある。人の話を聞き続けることや一つのものごとに集中することが難しいが、リモート方式だと比較的苦労なくやりとりができるという。

 ペッパーのおでこと胸にカメラがあり、訪れた客の様子を見ながら、あいさつやよく聞かれる質問の回答といった定型文をボタンを押して送る。

 百五銀では六十ほどの定型文を用意しているが、それ以外の内容でも、キーボードで打ち込めば話すことができる。「あいさつが遅れるなど大変なこともありますが、すごく楽しいです」と田村さんは話す。

 同行営業部の上村泰弘次長(49)は「毎日の天候に合わせてあいさつを日々アレンジするなど、成長が感じられる。臨機応変な対応をしてもらえている」と感じている。

 就労訓練は十二月二十五日で一区切りとなるが、県雇用経済部は「うまくいくところがあれば、障害者の就職に結び付けていきたい」としている。

来店客に話し掛けるペッパー=いずれも津市の百五銀行岩田本店棟で
来店客に話し掛けるペッパー=いずれも津市の百五銀行岩田本店棟で
ペッパーを操作する側から見える画面
ペッパーを操作する側から見える画面