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【経済】トヨタ労組「ゼロ極めてまれ」一律昇給見直しに同意

2020/10/01

 トヨタ自動車労働組合(組合員約6万9千人)は30日、愛知県豊田市内で定期大会を開き、職位などに応じて一律的に昇給していく現行の賃金制度を見直し昇給額の算定方法を人事評価に基づく項目に一本化する経営側の提案に同意することを、満場一致で決めた。来年春の昇給分から反映される。評価方法など具体的な手法については引き続き労使で協議する。労組関係者によると、標準的な働き方をすれば、従来通りの昇給は確保される見通し。

 現行制度では、職位に応じて一律で昇給する「職能基準給」と、個人の評価に基づいて配分する「職能個人給」に分かれていたが、新制度では評価に応じた「職能給」に統一する。具体的には、職種ごとに評価を4~6段階に分け、高い評価の人ほど配分は増す一方、最低評価となった場合は昇給がゼロになる。高い評価が続く場合は、これまでは昇給に上限値があったが、今後は設けない。

 ただ、組合の担当者は「ゼロとなるのは指導を受けても改善が全く見込めない場合など、極めてまれな例」と説明。最低評価を受ける社員の割合もあらかじめ決まっているわけではない。中間の標準的な評価の人の昇給水準は、これまでと大きく変わらないという。

 自動車業界が変革期を迎える中で、トヨタは一律よりも成果に応じた昇給とすることで、社員の働く意欲を高め、優秀な人材をつなぎ留めたい狙いがある。2020年春闘が妥結して以降、「頑張っている社員に報いるため」として経営側が提案し、労使で協議を続けてきた。組合側もこの日採択した21年春闘に向けた運動方針に「トヨタのフルモデルチェンジに向けて、組合員の働きがい向上を軸に置いて取り組む」との文言を盛り込んだ。

 西野勝義執行委員長は、新型コロナウイルス感染拡大による職場環境の変化にも触れ「取り巻く環境は引き続き大変厳しく、先は見通しにくい状況が続く。置かれた状況を正しく認識した上で、変化に追随するためにも課題解決に向けて柔軟に対応していかなければならない」とあいさつした。