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【暮らし】経済的不安ある女性支援 ファイナンシャルプランナーが悩み傾聴

2020/09/18

専門生かし有志が連携

 独身で非正規労働に従事しているなど、経済的な不安を抱える女性を家計管理の面で支えようと、ファイナンシャルプランナー(FP)の有志が支援団体を立ち上げ、来月からオンラインで悩みを聞く傾聴活動を始める。会員のFPは全員女性。同じ女性の視点と専門性を生かし、暮らしに困っている人たちの「駆け込み寺」を目指す。(河郷丈史)

 団体は一般社団法人「ウーマンライフパートナー」(東京)で、3月に設立。代表理事の中村真佐子さん(55)を含め、会員は人13。社会保険労務士やキャリアコンサルタントなどの資格を持つ会員もいる。

 中村さんは、FPとして家計相談に応じる傍ら、地元の東京都日野市の社会福祉協議会で生活支援員として、独り暮らしの高齢者や障害がある人の金銭管理をサポート。その中で、相談に来ることがほとんどなく、支援の手が届いていないと感じたのが、非正規労働に従事するなど、経済的に不安定な女性たちだ。

 女性は育児や介護で仕事が制限されがちで非正規労働の割合が高く、総務省の調査によると、2019年の非正規の割合は男性22・8%に対し、女性は56%。国税庁の調査によると、18年の非正規女性の平均給与は145万円で、正規の女性(386万円)や非正規の男性(236万円)より大幅に低く、特に独身者やシングルマザーは貧困に陥りやすい。

 低収入のまま、同居の親が要介護状態になったり、子どもの進学にかかるお金が工面できないといった悩みも少なくない。

 FPの強みは年金などの社会保障や税金、資産運用、不動産取引、相続、保険など、幅広くライフプランについて助言できること。中村さんによると、少額から始められる個人年金もあり、シングルマザーは万一に備え生命保険に入った方が良いという。正規雇用につながる資格取得のための給付金など、知っていれば活用できる制度もある。「FPがサポートできることはたくさんある」

 中村さんが以前相談を受けた20代の会社員の女性は東京都内で一人で暮らし、500万円近くの奨学金の返済に悩んでいた。勤務先の給料の仕組みを聞くと、資格を取ると手当が付くことが分かり、今後のキャリアも考え、早く資格を取って収入を上げることを助言。女性は資格を取得し、収入アップが実現した。

 中村さんは5月まで関東地方を中心とする女性FPの会の会長を務め、会員同士の交流や勉強会の開催に関わった。「社会貢献をしたい、困っている人を支援したいと思うFPはいるが、個人でできることには限りがある」。各自の得意分野を生かせば、より幅広い活動ができると考えた。

 傾聴活動は、独身で非正規労働に従事して収入面に不安を抱えている人など、暮らしに困っている女性が対象。不安に耳を傾けることで、気持ちを落ち着けたり、課題を整理したりしてもらい、必要に応じて具体的な支援につなげる。中村さんは「女性たちが前向きで明るい人生を送れるように、次の一歩を踏み出す手助けをしたい」と話す。

 貧困家庭の子どもたちへの金銭教育や、行政や支援団体を対象にしたセミナーなども計画。当面は会員の会費で運営するが、将来的には補助金の活用なども検討している。

 傾聴はホームページ(「ウーマンライフパートナー」で検索)に近く設置する専用ページで受け付ける。なるべく顔を見て話せるよう必要に応じてビデオ会議システムなども活用する。会員のFPは随時募集。問い合わせはウーマンライフパートナー=電050(5358)9673=へ。