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【愛知】介護不足解消へ 名大生奮闘 

2020/08/26

日進「あいほーむ」で就業体験の左高さん
訪問サービス 動画などでPR

 日進市北新町の老人ホームなどを運営する「あいほーむ」で、インターンシップ(就業体験)中の名古屋大情報学部二年の左高さん(20)が、地域課題の解決に取り組んでいる。市内の介護事業所が不足する地域で訪問介護サービスを始めることで、高齢者らの生活不安の解消を目指す。(平木友見子)

 左高さんは、半年間の有給インターンシップを七月から体験中。あいほーむの山村毅社長(52)から与えられた使命は、介護事業所の少ない同市北新町地区で先行的に立ち上げた訪問介護サービスの情報発信だった。左高さんは、サービス内容の動画などを会員制交流サイト(SNS)に毎日投稿。同地区の高齢運転者標識の付いた車のある家にちらしを配り歩くなど認知度アップに汗を流す。また市の地域包括支援センターを回って高齢者の困り事を聞き取り、その結果をサービス内容に反映。無料介護相談や日常生活の手伝いなどもメニューに入れた。左高さんは「職員はみんな信頼できる人柄なので、一度話せば伝わるはず。その接点をつくるのが大事だと思った」と狙いを話す。

 左高さんの働きぶりに、山村さんは「全部自分でやっていたのですごく助かっている」と喜ぶ。長期有給インターンシップ受け入れは初めてだったが「いつかやりたいと思っていた訪問介護サービスを実行する背中を押してもらった」と感謝する。

 新型コロナウイルスの影響で訪問介護の説明会が開けないなどの苦労もある。だが左高さんは「学生でも経営手法が学べ、地域の問題に取り組めるのが本当に面白い」と話し、目標の「問い合わせ一日三件」達成に向け奮闘していた。

 左高さんがインターンシップを始めたのは、南山大三年の横井優樹さん(21)が社長を務める学生ベンチャー企業「好生館プロジェクト」(中区)の就職活動支援イベントに参加したのが発端。知り合った介護職の人たちと話すうちに、面白い取り組みをしている施設が多いことを知り、同企業の仲介であいほーむに結びついた。

 現在、好生館は五事業者との地域課題解決型有給インターンシップを仲介する。横井さんは、「学生にとっては、プレ社会人として事業を回すことが大事な経験になるし、企業にとっても学生の柔軟な発想は起爆剤になる。双方と地域にとって新たな可能性の一歩を踏み出すきっかけになれば」と願っていた。

立ち上げた訪問介護サービスについて打ち合わせをする山村社長(右)と横井さん(中)、左高さん=日進市北新町のあいほーむで
立ち上げた訪問介護サービスについて打ち合わせをする山村社長(右)と横井さん(中)、左高さん=日進市北新町のあいほーむで