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【北陸発】深刻資金難 助けて 『非正規』支援 黒部のNPO法人

2009/02/05

ニート就労へ『若者自立塾』 塾生3人だけ

 厚生労働省の委託を受け富山県黒部市でニートらの就労支援をしている特定非営利活動法人(NPO法人)教育研究所が、深刻な資金不足にあえいでいる。蓄えは底をつき、独自の資金調達も、厳しい経済状況のため断念。寄付金とスタッフの賃金カットなどでしのいでいるが、このままでは活動停止の恐れもある。年末年始には職と住居を失った非正規労働者に支援を差し伸べたが、今度は救いを求める立場に立たされている。 (黒部・平井剛)

 教育研究所は一九七二(昭和四十七)年に横浜市で設立。全国初の通所型フリースクールを創設するなど児童生徒の不登校問題に取り組む。二〇〇五年十月に厚労省の委託事業で「若者自立塾」を黒部市宇奈月温泉に開設。ニートや引きこもりの人に合宿生活をさせ、就労や社会復帰ができるよう支援している。

 牟田光生理事(31)によると、資金繰りが厳しくなったのは〇八年夏以降。牟田武生理事長が病気入院して入塾生が減り、運営収入の約半分を占める国からの奨励金が半減した。講演やカウンセリングによる副収入も失われ、同年一月に隣接の保養所を研修施設として買い取ったことが負担としてのしかかった。

 年間の運営支出は約三千五百万円。〇七年までは四千万円前後の収入があったが、〇八年は三千万円を下回った。金融機関からの借入金の返済が毎月約七十万円に及び、資金不足が深刻化した年末には疑似私募債を発行して借入金を繰り上げ返済し、金利負担を軽減化する再建策も検討したが、債券の引受先を見つけるのは難しいとして断念。

 同研究所は活動の制約が少ない一般社団法人への移行と、四月から若者自立塾の中で収益事業を育てる計画を練るが、資金繰りが早急に改善するめどは立っていない。牟田理事は「問題を解決するには人を多く集めるしかない」と話し、現在わずか三人の塾生を増やしたいとする。

 同研究所の卒業生の就労率は〇七年度で69・84%で、全国三十カ所の若者自立塾の中で二番目に高い。牟田理事は「黒部で悩みを抱える若者の支援に少しでも長く携わりたい。そのためにも塾生の募集や活動への寄付に協力してほしい」と訴えている。問い合わせは若者自立塾=電話0765(62)9681=へ。