2020/06/11
19年528人死傷6年で2倍「マニュアル必要」
外国人労働者が増加する中、労働災害もここ数年、急増している。愛知労働局がまとめた昨年1年間の労災状況では、外国人労働者の死傷者数は528人となり、増え始める前の2013年と比べ2倍以上に増加。製造業の事故では2割近くを占めており、労働局は「文化の違いが背景にある」とみて、危険な作業のマニュアル化など対策を雇用者側に呼び掛けている。 (中崎裕)
労働局によると、県内の労災による死傷者数(死者と4日以上の休業が必要となった負傷者)は、昨年1年間に6986人で前年比1・8%減少した。だが、外国人は21・9%増と大幅に増加した。
外国人の労災死傷者528人のうち、最多の製造業は331人で六割超を占め、13年の2倍ほどに増えた。次いで建設業が78人で、13年と比べると、四倍ほどに急増している。
愛知労働局安全課の浜田勉主任安全専門官は「かつてと違い、現在は外国人だから劣悪な労働環境に置かれているという状況は見られない」と指摘し、労働者数の増加が一番の理由と分析する。
県内の外国人労働者は、昨年十月末現在で十七万五千百十九人。外国人雇用の届け出が義務化された〇七年以降の過去最高を六年連続で更新した。一三年は七万八千五百四十七人で、六年間に十万人近く増えている。永住・定住者の多いブラジル人と、技能実習生に多いベトナム人が労働者全体の半分近くを占める。
労働局によると、日本は海外と比べて企業による安全を確保する仕組みや管理が弱く、労働者の能力頼みの面が強い。機械を扱う際も、労働者の慣れや感覚で危険を回避していることがあり、それらが伝わらない外国人が事故に巻き込まれるケースがあるという。
浜田氏は「外国人には日本人の『普通こうする』が通じないことが多い。事故を防ぐには、企業が危険を把握してマニュアルを作るなど管理していく必要がある」と話している。
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