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【暮らし】生活防衛 失業者の確定申告

2009/02/05

 所得税の確定申告のシーズンを迎えた。景気が急速に悪化する中、しっかり理解しておきたいのは「昨年中に失業した人の多くは確定申告をすれば、払いすぎた税金が還付される」という事実だ。どうしてなのか、実際に申告するにはどうすればいいのか、考えてみた。 (白井康彦)

 「確定申告すればほとんどの失業者は還付が受けられるのだから、実行するのが賢明。うちの団体ではそのようにアドバイスしている」。名古屋管理職ユニオン(名古屋市中区)の山上博信委員長は力説する。

 サラリーマンの大半は、勤め先の会社が昨年十二月に年末調整で所得税額を計算してくれていて確定申告が不要。しかし、昨年会社を辞めて失業したまま年を越した人はまったく話が別だ。

 会社は通常、従業員が一月から十二月まで勤務するものとして、源泉徴収税額表を見て、給与や社会保険料などに応じて毎月の所得税額を差し引く。

 年の途中で会社を辞めた場合は、十二カ月働いていないのに十二カ月働いた水準の税額が差し引かれたのだから、税額は多くなることが多い。会社に雇われていた期間が短くて収入が少なかったときは、所得税がゼロになることもある。このため確定申告をして、払いすぎた分を取り戻そうというわけだ。

 申告には、勤めていた会社にもらった源泉徴収票が必要。人によっては生命保険料控除や住宅ローン控除など、これまで年末調整で行ってきた控除も、自分で確定申告すると得になる。確定申告した場合の還付金の額は人によってさまざまだが、多いときは数万円以上になることもある。

 雇用保険の失業手当をもらっている人がありがたいのは、失業手当が非課税であること。これについての申告はしなくていい。

 失業していると気持ちに余裕がないので「確定申告に取り組む時間がない」と考えがち。だが、実際にはこのような還付申告は五年以内に行えばいいことになっている。山上委員長は「再就職したりして落ち着いた状態になってからでも申告できるので、あきらめずに取り組んでほしい」と強調する。

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 所得税の確定申告の受け付けは今月十六日-三月十六日。今回は大半の人が影響を受けるような制度変更は見当たらないが、さまざまな改正点はある。

 主なものは▽自分の居住地以外への寄付が税制上有利に行える「ふるさと納税」制度の創設▽住宅ローン控除の対象に省エネのための改修工事を追加▽メタボ健診を受けて実施される一定の特定保健指導の費用を医療費控除の対象に追加-など。こうした制度の対象者は確定申告を忘れないようにするべきだ。

 確定申告に慣れていない人は、今の時期に書店にずらりと並ぶ確定申告の解説書を読んだりして勉強するとよい。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」は自動計算機能があって便利だ。