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【経済】Q&A/休業手当 会社から受けられなかったら ハローワーク・労働局に直接申請を

2020/05/28

 新型コロナウイルス感染拡大に対応した第2次補正予算で、政府は休業手当が受けられない社員への新たな直接の給付策を設け、雇用対策を拡充すると発表しました。ただ、雇用不安の解消には課題も多く残っています。(池尾伸一)

 ◇ ◇ ◇

 Q 休業手当をもらえない社員への給付「新型コロナ対応休業支援金」(仮称)の仕組みは。

 A 従来の雇用調整助成金は、企業が休業させる社員にまず休業手当を支給します。そのお金の財源として、ハローワークや労働局に申請すると、助成金が出る仕組みです。これに対して新しい制度は、休業手当が出ない場合に社員が直接ハローワークや労働局に支援金を申請し、給付されます。月額上限は33万円で、休業前の賃金の最大8割が補償されます。

 Q なぜこうした仕組みが必要になったのでしょう。

 A 本来、企業が会社都合で社員を休ませる場合は、本来の賃金の六割以上を休業手当として支給する義務があります。ところが新型コロナで、コナミスポーツや富士そばなど、店舗を休止している会社が非正規社員に休業手当を支給しない例が、相次いでいるのです。

 Q 会社はなぜ休業手当を払わないのですか。

 A 法律上は政府や知事の要請での休業は企業都合でないために休業手当の支給義務を免除する場合があり、企業が「義務がない」と主張することがあるからです。厚生労働省はその場合も雇用調整助成金を使って手当を出すよう呼び掛けていますが、実際にはあまり活用されておらず、労働者を直接救済する措置を迫られました。

 Q これで休業手当を受け取れない人は救われるのでしょうか。

 A 実はまだ不十分です。今回の制度の対象は中小企業で働く従業員だけで、大企業は入りません。厚労省は大企業は雇用調整金を申請する余裕があるから、と説明します。しかし、これまでのケースをみるとコナミなど大企業でも支給されない例も目立っています。どういう条件なら支給されるかや必要な書類など制度設計はこれからです。3月から無給となり、アパートの家賃にも困っている人たちもおり、スピードが要求されます。