2020/05/22
厚生労働省は21日の参院厚労委員会で、新型コロナウイルス関連の解雇や雇い止めが20日時点で9569人に上ることを明らかにした。政府が緊急事態宣言を発令した4月から、企業などの休業に伴い職を失う人が急増し、一万人に迫った。派遣社員の大量の雇い止めが表面化する「4月危機」への懸念が労働関係者の間で広まっており、2008年のリーマン・ショック以来の雇用危機が現実味を帯びている。
経営基盤の弱い中小企業を中心に解雇・雇い止めが相次いでおり、委員会では同省幹部が「さらに拡大する恐れがある」との見通しを示した。
派遣社員は四半期ごとの契約が多く、7月からの第2・4半期は、5月末に次の更新の有無が分かる。非正規労働者を支援する「派遣ユニオン」(東京)によると、4月の緊急事態宣言発令後に解雇・雇い止めの相談が増えており、担当者は「大量の雇い止めが発生しかねない」と懸念を示す。
厚労省は2月から各都道府県労働局の報告を集計。解雇・雇い止めの人数を月ごとで見ると、2月が282人、3月が835人、4月が2654人、5月が5798人と増えている。業種別ではホテルや旅館、観光バス、タクシー運転手など観光に加え、自治体からの要請を受けて休業が相次いだ飲食業で多かった。
大和総研(東京)の推計では、感染拡大が年末まで続けば、20年の雇用者数は前年と比べて356万人減少し、完全失業率は7・5%程度に悪化する見通し。リーマン・ショック後の09年の5・1%を上回る。
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