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【三重】外国人労働者、失業保険の手続きに列 鈴鹿のハローワーク

2020/04/16

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う景気悪化は、県内の製造業などを支える外国人労働者にも大きな影響を及ぼしている。新規求人が急減する中、雇い止めも見られ、家を失って路頭に迷う労働者も出始めている。

 ハローワーク鈴鹿(鈴鹿市)の通訳窓口には夕方、失業保険の手続きをする外国人がほとんど途切れることなく訪れていた。市内の日系ブラジル人男性(31)は、三月末まで自動車部品工場で働いていたが、契約を打ち切られたという。「契約社員だから、減産したらすぐ辞めてほしいと言われる」と話す。

 三重労働局の職業対策課によると、現時点で外国人労働者を含め大規模な解雇の情報はないという。ただ、企業が事業縮小で従業員を休ませる場合に払う休業手当を国が補助する雇用調整助成金に関する相談は、三月二十三~二十七日の二百五十八件から、三月三十日~四月三日は六百五十八件、四月六~十日は千三百五十四件と激増している。

 外国人の多い業種では求人の減少が目立つ。二月時点で製造業が前年同月比18・7%減、人材派遣業は34・9%減と厳しい数字が並ぶ。担当者は「出勤を減らすなど、事業者にはなんとか辞めさせない形で乗り切ってもらえるとありがたい」と話す。

 一方、労働組合「ユニオンみえ」(津市)には、外国人からの雇い止めに関する相談が増えている。神部紅書記長(38)は「通常の三倍ほどの相談が押し寄せ、カウントし切れていない」と話す。

 津市の自動車部品工場で働いていた日系ペルー人女性の派遣労働者からは「派遣先で自分も含め、八十人ほどが辞めさせられた」との相談があった。亀山市の工場で働いていたブラジル人女性は「三月末で派遣切りにあい、会社の借り上げアパートからも出て行けと言われ困っている」と訴えてきたという。

 神部書記長は「今のペースでいくと、リーマン・ショック以上の雇用破壊になる」と警鐘を鳴らす。「多言語相談できる組合は少なく、やっていかないと大変なことになる。仕事と家を同時に失う人がいるので、生活相談にも応じていく必要がある」と語る。 (上井啓太郎)

 <県内の外国人労働者> 三重労働局が2019年10月末時点で事業者の届け出をまとめた外国人労働者数は3万316人。このうち派遣・請負労働者は1万446人と34・5%を占め、滋賀、静岡、栃木に次ぎ全国で4番目に比率が高い。派遣・請負労働者の約30%がハローワーク鈴鹿管内(鈴鹿市、亀山市)。

相談に訪れる外国人に対応する職員たち=鈴鹿市のハローワーク鈴鹿で
相談に訪れる外国人に対応する職員たち=鈴鹿市のハローワーク鈴鹿で