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【愛知】「ゼロ」達成できず 残業月80時間超え教員 県教委19年度調査部活など負担なお大きく

2020/03/31

 残業時間が「過労死ライン」とされる月80時間を超える県内の公立校(名古屋市を除く)の教員の割合が、2019年度の県教委の調査で、小学校で6・9%、中学校で23・9%、高校で9・2%となった。県教委は一九年度までにいずれも「ゼロ」にするとの目標を掲げていたが、達成できなかった。 (森若奈)

 県教委は17年3月に策定した「教員の多忙化解消プラン」で、教員の疲弊を解消し、子どもに丁寧に関わることができるよう、残業を段階的に減らす目標を立てた。15年度に小学校で10・8%、中学校で38・7%、高校で14・0%だった「月80時間超」の教員の割合を19年度にゼロにするとしていた。

 プランに基づき、県教委や各市町村教委は出退勤記録を電子化して勤務時間を把握する仕組みづくりや、部活指導の外部委託などを進めてきたが、中間目標の「18年度に小学校5%以下、中学校20%以下、高校5%以下」という数値を満たせないまま19年度に突入。最終目標も達成できなかったことを、県教委教育企画課の担当者は「特に中学校は部活の負担が依然大きく、一気にゼロにはできなかった」と説明した。

 県内で月80時間超の残業がなくならない中、国は20年度から、残業時間の上限を月45時間とする方針を示している。

 公立小中学校の教員でつくる県教員組合は、多忙化解消プランに対する意見書の中で「月80時間超の割合をゼロにすることすら厳しい中、月45時間を守ることは不可能に近い」と指摘。組合の一九年度の調査では「ゆとりをもって子どもたちと触れ合う時間を確保できているか」という質問に「あまり感じていない」「全く感じていない」と答えた教員は、計80・3%。17年度から数ポイントしか改善しておらず、現場の多忙感は続いている。

 県教委は、20年度に改定作業に入る「あいちの教育ビジョン」の中で、改めて残業時間抑制に向けた実効的な取り組みを盛り込む予定だ。教育企画課の稲垣宏恭課長は「優秀な人材をひきつけ、教育の質を確保していくためにも、働き方改革を今後も着実に進めていく必要がある」と話している。