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【総合】保護者の休業補償 休校以外も活用可能

2020/03/27

保育所などが休業 ■ 子が感染疑いで欠席

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた一斉休校で仕事を休まざるを得なくなった保護者を支援するため、国が新たに設けた休業補償の申請受け付けが始まっている。原則、休校中に子どもの世話が必要になった保護者が対象だが、中学や高校は対象外。一方、休校になっていなくても補償されるケースもあり、適用の線引きは複雑だ。ポイントを押さえ、うまく活用したい。 (河郷丈史)

 ◇ ◇ ◇

 厚生労働省によると、国が新設した制度は、休校などで子どもの世話が必要になり、仕事を休んだ従業員が、休んだ日の賃金の全額を受け取れるようにする仕組み。年次有給休暇とは別に特別な有休を取らせた企業に対し、従業員1人1日当たり8330円を上限に助成する。上限を上回る分は企業が負担する。

 2月27日~3月31日に取得した休みについて補償し、正社員やパートなど雇用形態を問わず利用できる。半日単位、時間単位で休みを取った場合も補償される。

 対象となるのは、子どもが小学校や特別支援学校などに通う保護者。休校要請には含まれなかった保育所や幼稚園、放課後児童クラブなどが休業した場合、これらの施設に子どもを通わせている保護者も対象に含まれる。

 休校中の居場所として学校が開放されていても、子どもの世話が必要で休んだ場合は補償の対象になる。また、休校になっていなくても、子どもが新型コロナウイルスに感染したり、せきや発熱などから感染を疑って学校を休ませ、世話のために仕事を休んだときは補償される。

 一方、中学生や高校生の保護者は休校になっていても、子どもに何らかの障害がある場合を除いて対象外だ。同省の担当者は「1人で留守番ができるかどうかなどを考慮して線引きをした」と説明する。また、小学生でも、症状が出ていないのに保護者が感染予防のために自主的に休ませた場合は補償されない。

 ただ、今回の休業補償に強制力はなく、活用するかどうかは企業の判断に委ねられる。国に申請するのも企業で、従業員個人では申請できない。勤務先で制度が利用できるかどうかを確認することが必要だ。

 一方、フリーランスなど業務委託を受け個人で働いている人が同様の事情で仕事を休んだ場合、一律で1日4100円が補償される。契約書や電子メールなど業務内容や報酬が確認できる書類を用意し、保護者本人が国の窓口に申請する。

 保護者には両親のほか、祖父母や子どもの世話を一時的に手伝う親族も含まれる。いずれも、申請期間は6月30日まで。

◆補償制度他にも
 症状あり4日以上休む→傷病手当
 企業の指示で休ませる→休業手当

 新設された制度以外にも、休業時の収入を補償する仕組みがある。

 本紙生活面で「知って得する社会保障」を連載中の社会保険労務士、相川裕里子さん(51)=横浜市=によると、活用できる制度の一つが「傷病手当金」。会社員などが加入する健康保険の制度で、本人が病気やけがの療養のために4日以上仕事を休む場合、最長で1年半、月給の日額の3分の2が日ごとに支給される。

 発熱やせきなど新型コロナウイルスの感染が疑われる症状が出て、自宅待機や医療機関の受診のために仕事を何日も休んだときなどに使えるという。ただ、連続して3日間、仕事を休むことが条件で、受給は4日目以降からになる。

 条件を満たさない場合でも、病気やけがなどの際に使える傷病休暇制度を設けている会社もあるので、確認を。また、年次有給休暇が残っていれば、理由を問わず取得できる。

 このほか、労働基準法で定められた「休業手当」もある。企業の責任で従業員を休ませた場合、賃金の60%以上を支払わなければならないとされている。新型コロナ感染に関して、厚労省は、従業員に発熱などの症状が出て会社の指示で休ませた場合は、休業手当を支払う必要があるとの見解を示している。