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【暮らし】<わたしの転機> 現役時代を反省、パワハラ防止の講師に

2020/01/08

 名古屋市守山区の苅谷奨治さん(67)は3年前に飲料メーカーを退職後、企業などでパワーハラスメント防止研修の講師を務める。会社員時代は部下に「鬼」と恐れられた。だが、「指導を間違えば部下を追い詰める」との自戒から、怒りの感情と付き合う心理プログラムを学び、パワハラ根絶に第二の人生をささげている。

 きっかけは、2002年に沖縄の子会社に社長で赴任したこと。休みがちな40代の男性社員がいました。周囲に聞くと、ミスをするたび、上司から「だらしない」「甘えるな」と叱責(しっせき)されていたそうです。

 当時はパワハラという言葉もなく、最初は大ごととは思いませんでした。私たちの世代は上司の「しごき」は当たり前。僕も30年前、手を抜く部下には容赦なく怒鳴ったり、手で頭を小突いて説教したりしました。ここの上司にも問題はあるが、部下の社員も甘えていると思いました。

 しかし、よく調べると、その状態が2~3年も続いており、本人は心を病んでいたようでした。上司はパワハラの自覚がなく、指導のつもりで怒り、社員を傷つけていました。こうしたやり方は通用しないと痛感し、上司に接し方を変えるように指導しました。

 その時、かつての自分も同じだったのではと反省し、どうすれば部下の悩みに気付き、寄り添えるかを考えました。心理カウンセラーに関心を持ち、最初は独学で、名古屋に戻った11年から専門学校に通い、民間資格を取りました。

 その後、ボランティアでパワハラ被害の相談にのるように。苦しむ声に耳を傾けるうちに、感情に任せて怒る上司の意識を変えなければ被害はなくならないと考えるようになりました。

 17年に退職し、怒りとうまく付き合う方法を啓発する日本アンガーマネジメント協会(東京)の講座を受講。64歳で講師に認定されました。

 以来、企業や自治体でパワハラ防止研修を開いています。怒りの性質やメカニズムなどを伝え、診断テストも受けてもらいます。イライラしやすいのか、根に持ちやすいのか。自分のタイプを知ることが怒りと付き合う第一歩です。

 部下が寝坊で遅刻した時、寝坊を注意するのは大事。でも、「だらしない」と人格を否定するのは指導の範囲を逸脱しています。僕はイライラタイプ。カッとなると、反射的に怒鳴っていました。怒るべきことと、そうでないことの線引きができなかったのです。

 部下の世代との考え方の違いに戸惑う管理職や上司は多いですが、頭ごなしに否定せずに、耳を傾けてみてください。その姿勢が健全な上下関係につながると伝えたいですね。

 (添田隆典)

パワハラ防止研修で講演する苅谷奨治さん=名古屋市で
パワハラ防止研修で講演する苅谷奨治さん=名古屋市で