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【社会】労政審部会 労災認定 副業時間を合算 労働時間管理に課題

2019/12/26

 厚生労働省の労働政策審議会の部会は23日、労災保険制度の見直し案で合意した。長時間労働に起因する労災の認定基準について、副業など複数の勤め先の労働時間を合算する仕組みに改める。これまでは合算は認められず、複数職場で過労死の認定基準(発症前1カ月の残業時間が100時間超)を上回る長時間労働をした人でも労災認定されない事態が起きていた。

 見直しで雇用のセーフティーネット(安全網)が強化されたといえるが、根本的課題は解決されず残ったまま。それは、労災の未然防止のため副業を含めた労働時間を、誰がどうやって把握、管理するかのルールづくりだ。本来なら、事業主が別の勤め先の労働時間を把握し、合算して健康確保に努める。労働基準法(38条)は、そう定める。

 だが、政府はこの問題は置き去りにしたままだ。労働者の自己申告を前提に、厚労省の検討会は「複数職場の労働時間は合算せずに事業主ごとに残業時間の上限規制を適用する」との選択肢を示したが、労政審の部会はいまだに議論を始めていない。

 このまま事業主ごとに残業時間の上限規制を適用することになれば、例えば2つの職場の合計で過労死ラインを超える長時間労働をさせることも違法でなくなる。このような状況で政府が副業を勧めれば、複数職場での過重労働による過労死という「合算死」が増加しかねない。

 日本労働弁護団は「労働時間を合算しなければ、企業にとって割増賃金の負担が減り、それは長時間労働の歯止めが弱くなることを意味する」と声明で強い危機感を示した。

 さらに、今回の労災認定の見直し案はフリーランス(個人事業主)など、企業に雇用されていない人には適用されない。こうした働き方をする人は増えており、認定対象の拡大を求める声も出ている。労災認定の制度を出発点から見直さないかぎり、働く人の不幸は後を絶たない恐れがある。