2019/12/05
加齢での衰え 「社会と関わり改善」指摘
津島市民病院に勤務する弥富市の理学療法士、渡辺良太さん(34)が筆頭著者の論文が、リハビリに関連する優れた論文に贈られる今年の「総合リハビリテーション賞」に選ばれた。加齢による心身の衰えから回復するためには、社会との接点を持つ大切さを指摘した。(深世古峻一)
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同賞は出版社「医学書院」(東京都)が主催し、1993年から年に1回、専門誌「総合リハビリテーション」に掲載された論文を対象に選出。今回は36編の中から、渡辺さんと他病院に勤務する作業療法士らで執筆した「フレイルから改善した地域在住高齢者の特徴」が最も優れた論文に輝いた。
フレイルとは加齢で心身が衰えた状態を指し、適切な対応をとらずにいると要介護状態になるケースが多いとされている。渡辺さんらはほとんど研究されていないフレイルからの改善要因を探るため、全国24市町村に住む高齢者(65歳以上)六万人に、2010-11年度と13年度の2度にわたりアンケートを実施した。
うち、13年度までにフレイルから回復した約4000人の高齢者の外出、友人と会う頻度、うつ状態の有無などを統計的に分析。すると、うつ状態がなく、毎日外出したり、友人と会う頻度が月1回以上の高齢者が、回復しやすい傾向が見られた。
フレイルからの改善要因として、運動や栄養摂取の大切さは報告されてきたが、社会的な要因を結論づけた論文は初めてだったという。
業務の傍ら、執筆に約3年半を費やした渡辺さんは「反響が大きく驚いている」と喜びを語り、「今回の研究で病院のリハビリだけでは限界があると感じた。退院の際に、散歩しやすい環境や、地域住民が交流する場所の紹介をするなどして、社会との関わりを働き掛けていく必要がある」と強調した。
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