2019/11/28
出張講演会、少人数の「カフェ」……企画続々
東三河地方の若者たちに地元の有望な企業に入社してもらおうと、自治体関係者らが知恵を絞っている。人口ピークをすでに越え、県内では先行して人口の減少局面を迎えている東三河で、人手不足はより深刻な問題。「就職活動時、地元の企業の名前が頭の中に浮かぶように-」。関係者はそう願い、高校時代から、あるいは大学生の早い段階から、地元企業に関心が向くよう「ラブコール」を送る。(酒井博章)
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「今、パラダイムシフトが起きている。簡単に言えば劇的な変化だ。皆さんの未来には、さらに、今まで想像できなかったものがやってくる。だから、コミュニケーション力と言語力を磨き、自ら動いてほしい」
18日、豊橋市の時習館高体育館で切削工具大手オーエスジー(豊川市)の大沢二朗常務執行役員が約320人の1年生に熱弁を振るっていた。大沢さんは、すべてのモノがインターネットにつながる「IoT」や電気自動車(EV)など、技術革新が進む現代で、今、高校生が何を学ぶべきかなどを20分話し続けた。
この講演会は県東三河総局が初めて企画。大学進学を機に、一度は地元を離れてしまう傾向がある東三河の高校生たちに地元の魅力的な企業を先んじて紹介するのが狙い。この日は、物流業や不動産業を展開する豊橋倉庫(豊橋市)の石川誠社長も東三河で暮らす良さを交えて講演した。
進学と同じく、就職を機に東京など大都市に出ようとする大学生たちを地元につなぎ留めようとの取り組みも進んでいる。東三河広域連合で昨年から開く「まじカフェ」もその一つだ。
カフェや大学図書館などで、企業の採用担当者や若手社員と少人数で膝を交えながら話し合い、業界トップシェアの技術力を持つ地元企業の魅力をPRしていく。今年は10月から愛知大豊橋キャンパスや豊橋技術科学大などで順次開いている。
県の統計や国立社会保障・人口問題研究所の推計などによると、県内全体では現在も人口増加が続く中で、東三河では2008年の約77万人をピークに減少が始まった。右肩下がりは続き、45年には63万人まで減ると推計されている。
東三河広域連合総務課の小久保篤史さん(42)は「東三河には有望な企業が多い。けれども、地元の若者にアンケートすると、地元企業名が五つも出てこないのが現状だ。まずはその良さを知ってもらうことが何よりも重要だ」と強調する。
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