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【三重】精神・知的障害者ら排除しないで 公務員採用で津市に要望書

2019/09/26

 津市が障害のある職員を採用する際、精神・知的障害者や目や耳の不自由な人を事実上排除しているとして、「県に障害者差別解消条例をつくる会」などは25日、市と市議会に要望書を提出した。市は「配慮に欠いた。速やかに改善したい」として、2021年度以降の採用試験に反映させる方針を示した。

 20年度採用予定の職員採用試験申込書には、「事務職(身体障害者対象)」と明記されているほか、注意事項として「自らが正確に漏れなく、ボールペンまたはインクを用いて記入」、「点字や音声パソコンを用いた試験は行っていない」と記載している。

 障害の種別によって応募資格を奪っているとして、同会は規定の削除と採用の見直し、採用後に不利益を被らないため、業務においても点字や手話などに対応するよう求めた。

 同会の松田慎二代表(62)は「このような文言は非常に残念で情けなく思う。合理的配慮が欠如している事項を改め、職場環境を含めて改善してほしい」と、荒木忠徳総務部長に要望書を渡した。荒木部長は「採用したが働ける環境でない、という状況を避けたかったのもある。個々の障害の特性を生かせる仕事を考えたい」と答えた。

 同会事務局長の杉田宏さん(37)によると、市と近隣する松阪、伊賀市は障害の種別を規定していない。「津市への要望をきっかけに他市町村も応募資格を見直してほしい。他の自治体にも要望を検討していきたい」と話す。

 実際に津市の受験をあきらめた視覚障害者もいたという。市視覚障害者福祉会の内田順朗会長(71)は「全盲でも秀でた能力を持つ人はいる。行政は障害があってもできることに目を向け、優れた若い人を採用してほしい」と期待を込める。

 松田代表は「たとえ介助が必要であっても、働いて社会とつながっていたい。この思いを理解していただけたら」と話した。

 (本間貴子)

松田さん(左)と内田さん(右)が渡した要望書を受け取る荒木総務部長=津市役所で
松田さん(左)と内田さん(右)が渡した要望書を受け取る荒木総務部長=津市役所で