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【三重】追う/男性保健師「女性職場」で孤立 偏見超え環境整備を

2019/08/12

 保育士や看護師、バスガイドなど「女性の職場」のイメージが強かった仕事で近年、男性が進出している。だが、少数派ゆえの悩みや偏見に直面することも。県内の自治体に保健師として採用された男性(33)は働きづらさを感じ、1年たたずに退職した。男女ともに職域が広がる中、性別に関係なく働きやすい環境づくりが求められている。(斉藤和音)

 ◇ ◇ ◇

 「男の保健師が(女性と)同じように振る舞うとセクハラになる」。昨年春の勤務初日、10人ほどの保健師らを前に新任のあいさつをした男性に、女性上司がこう言い放った。「セクハラする人を住民の前に出すわけにはいかない。何もしないで」

 男性は総合病院などで8年間、看護師として働いた後、3度目の挑戦で保健師の採用試験に合格した。養護教諭や児童養護施設で働いた経験もあり、「行政の保健師として、子どもの発達相談などに関わりたい」と保健師を志した。

 この自治体では男性保健師の採用は初めてだった。男性も性別を理由に仕事上の制限が設けられることはある程度覚悟していたが、実際、職場で壁を感じることは多かったという。

 乳幼児健診や育児相談といった母子保健の分野を担当したが、上司からは本来の業務である自宅訪問を控えるようにと指示された。1歳半や3歳児健診も「男性では子どもが萎縮する」と担当から外された。

 同僚からは「訪問に行かない人は保健師じゃない。やる気がないだけ」と非難された。育児相談で訪れた母親から母乳や出産後の体の変化について尋ねられ、答えに詰まると「やっぱり男性だからね」と言われ、傷ついた。休職を経て退職した。

 男性は「初めての男性で、周囲が自分をどう扱っていいか分からなかったと思う」と気遣いつつ、「男性だからこそ、できる仕事はあったと思う」と悔しさをにじませる。

 名古屋市立大(名古屋市瑞穂区)で保健師志望の学生を教える細川陸也助教は、「市町村における保健師業務の中で母子保健は大きな割合を占めるが、トラブルなどを懸念し、男性保健師には担当させない自治体もある」と明かす。自身も保健師として母子保健に携わった経験から「新生児訪問や母乳相談などの際に配慮したことはあるが、男性であることの弊害は感じなかった」と話す。

 日本看護協会によると、全国の男性保健師は2016年末時点で1137人。ここ10年ほどで3倍以上に増えたものの、保健師全体の1・8%にとどまる。

 少数派ならではの悩みを分かち合おうと、男性保健師による連携も広がる。13年には「全国男性保健師のつどい」が発足。発起人の1人で、保健師歴20年の平田浩二さん(46)=大津市=は、女性ばかりの職場で孤立を深める人もおり、情報交換できる交流の場が必要だと指摘する。

 平田さんは「現場で女性が必要とされる場面があるのは事実で、男性の視点を入れようと採用した人事側と現場で温度差があるケースが多い。上司や職場の意識改革は必要だが、男性にも職場に溶け込み、パイオニアとして実績を残す努力が求められる」と双方の努力を促した。

【男性保健師】
 1993年の法令改正で、男性にも保健師になる道がひらかれた。当初は女性を保健婦、男性を保健士と呼んでいたが、2002年に保健師に名称を統一した。働く場所ごとに行政保健師や産業保健師、学校保健師(養護教諭)に分かれるが、大半を行政保健師が占める。県内では16年現在、681人の保健師がいるが、うち男性は8人にとどまる。

保健師だった当時、上司から言われた言葉を、男性が書き残したノート=県内で
保健師だった当時、上司から言われた言葉を、男性が書き残したノート=県内で