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【地域経済】参院選2019 経済の現場から/男性育休 取得は低調 目標遠く

2019/07/08

国の義務化に疑問の声も

 「仕事一筋の生活だったので、10日間も職場を離れるのは、少し戸惑いがありましたね」。岐阜市の建設会社アース・クリエイト取締役の岩田良さん(39)は、小学6年生の長女の誕生に合わせ、初めて育休を取った時のことを振り返る。

 同社は15年ほど前から若手社員の離職を防ごうと岩田さんが中石俊哉社長に提案する形で働きやすい職場づくりを進めてきた。「家族の理解があれば仕事も充実できる」と考え、「男性の育休」を推奨したのもその一環。社員25人の会社だが、制度ができてから子どもが生まれた男性社員九人が2週間の育休を計13回取っており、取得率は100%を達成している。

 育休推奨などの職場環境の改善が若手社員の定着につながったことに加え、業務の効率化などを進め、2011年度から19年度で同社の売上高は倍増した。休業中も給料が減らないよう、法定の育休ではなく、2週間の有給休暇を追加で社員に付与している。「休みを取る側が安心して使える制度が重要だ」と岩田さんは強調する。

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 女性の育児負担を減らして社会参加を促す観点から注目されている男性会社員の育休。厚生労働省の調査では、18年度の男性の育休取得率は6・16%で過去最高に達した。ただ8割超が取得する女性とは圧倒的な差があり、「20年に13%」という政府目標も遠い。民間調査によると、育休を希望しても「人手が不足している」「職場が育休を取りづらい雰囲気だった」などの理由で断念したケースも多かった。

 そんな中、男性育休の促進に向け大手企業も動きだした。三菱UFJ銀行は5月から、2歳未満の子どものいる全男性行員に、1カ月の育休を取得させる制度をスタート。以前も8割近くの男性行員が育休を取っていたが、数日にとどまるケースが多かった。「従来よりも十分な日数を取りながら、仕事と育児を両立しやすい制度にした」(広報)という。

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 国会でも今年6月、男性の育休義務化を目指す自民党有志の議員連盟が発足するなど議論が盛り上がっており、参院選公約では国民民主党が男性も含めた育休の義務化を主張している。

 しかし、人手不足にあえぐ中小製造業の経営者からは「大企業の働き方改革のしわ寄せで、中小に無理な納期の発注が来ることも多い。社員の残業時間が延びてしまうし、育休を取らせるのは困難だ」との声も聞かれる。

 法政大キャリアデザイン学部の武石恵美子教授は男性育休の必要性を認めつつ、国による義務化には「違和感がある」と指摘する。「家庭の子育てのあり方に国が介入することの問題も考慮するべきだ。育休だけでなく、時短勤務や在宅勤務など柔軟な働き方を選べるようにして、夫婦で育児ができることが大切だ」と訴える。(石原猛)

自身の育休取得時の写真を紹介する岩田さん=岐阜市のアース・クリエイトで
自身の育休取得時の写真を紹介する岩田さん=岐阜市のアース・クリエイトで