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【愛知】精神障害者雇用、前年比36%増 県内昨年3989人

2019/04/21

 愛知労働局がまとめた昨年6月1日時点の県内の障害者雇用状況で、精神障害者の雇用者数が3989人となり、前年同期と比べ1056人増えたことが分かった。昨年4月から精神障害者が各企業の雇用義務対象に含まれることとなり、改善が進んだ形だ。

 雇用されている障害者は全体で3万2764・5人(短時間労働者の一部は0・5人としてカウント)で、前年から2648・5人増え、2年連続で過去最高に。東京に次いで全国で2番目に低かった障害者雇用率は0・08ポイント改善して1・97%となったが、依然として都道府県別で3番目の低さだった。

 障害別の内訳では、身体が4・5%増の2万1802・5人、知的が10・3%増の6973人。36%増となった精神の伸び率が最も大きかった。

 精神障害者の雇用を巡っては、2013年の障害者雇用促進法改正で、民間企業の法定雇用率が2・2%に引き上げられる18年4月から雇用率の算定人数に加えることが決まった。13年6月時点で県内の精神障害者雇用者数は1267人で、5年で3倍以上に増えた形だ。

 ここ数年、増加は年500人ほどで推移していたが、1000人規模に急増したのは、今回から精神障害に限って短時間労働でも1人としてカウントした影響もある。しかも、13年に約4万5000人だった精神障害者保健福祉手帳の所持者は、今年4月には約7万人に増加していることも背景。雇用されている人は、所持者の5・7%程度にとどまるのが現状だ。

 愛知労働局職業対策課の担当者は「昨年4月の改正法施行で精神障害者も対象となったとの認識が企業の間で広がっている」と話し、県と連携しての合同面接会や企業への出前講座などを続け、さらなる増加を目指す。

 NPO法人県精神障害者家族会連合会の木全義治理事は「増えているのは非常に良いこと」と企業や行政の取り組みを歓迎。「環境が変わるのでサポートが必要で、定着の仕組みを考えないといけない。障害者だけの別会社にしている企業もあり、本当に同じ社会の構成員として働ける世の中になれば」とさらなる改善に期待している。

 (中崎裕)