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【社会】中年男性 働き過ぎ注意 11時間超で増す 心筋梗塞リスク

2019/03/15

 1日11時間以上働く中年男性は、7~9時間の標準的な勤務時間の人に比べて急性心筋梗塞を発症するリスクが1・6倍になるとする大規模調査結果を、国立がん研究センターや大阪大のチームが14日、発表した。特に会社員や50歳以上の人が長時間労働の影響が出やすいとしている。

 長時間労働と急性心筋梗塞の関係を指摘した日本での本格的な調査は初めて。疲労回復が不十分になったり、精神的ストレスが増加したりすることが原因とみられる。

 大阪大の磯博康教授(公衆衛生学)は、「長時間労働が健康に影響することが裏付けられた。会社員は仕事の裁量権がないことでストレスがたまりやすいのではないか」と話している。

 チームは1993年に40~59歳だった男性約1万5000人の生活習慣や健康状態を約20年間追跡調査。212人が急性心筋梗塞を発症した。

 リスクを高めるとされる喫煙習慣や睡眠時間などの要因で差が出ないように調整し、勤務時間との関係を分析すると、1日11時間以上の長時間労働グループが急性心筋梗塞になるリスクは、標準的なグループに比べて1・6倍となった。

 長時間労働グループを詳しく調べると、会社員らのリスクは2・1倍で、追跡を始めた年齢が50代の人のリスクは2・6倍と高かった。

 一方で、経営者や自営業の人は長時間働いてもリスクの上昇はなかった。チームは長時間労働と脳卒中との関連も調べたが、統計的に明確な結果は得られなかった。