2019/02/25
家族を介護しながら働く社員の介護離職防止に努める企業が増える一方、企業に属さずフリーランスとして働く人へのセーフティーネットはまだまだ手薄だ。仕事ができなくなった場合、金銭的な支援は、資産状況が行き詰まった時に生活保護が受けられるだけ。そんな現状を受けて、自営の人たちが集まって自衛策を拡充している。
「家族が要介護となるリスクは、仕事や働き方に関係なく、誰もが背負っています」。一般社団法人「フリーランス協会」の平田麻莉代表理事(36)は、同協会が、昨年10月に取り扱いを始めた介護支援の「サポートプラン」の意義を強調する。
同協会は、業務中の対物・対人事故や納期遅れなどの賠償リスクへの備え、受注やスキルアップなどで会員をバックアップしている。年会費は1万円。
会員が働けなくなった場合には、任意加入で保険料に応じた保険金を支払う所得補償制度がある。
これに上乗せして、会員の備えを手厚くするのが「親孝行サポートプラン」。親が要介護2~5とされた際、一時金が支払われる。要介護状態が90日を超えて続く場合が対象となる。
保険料は、一時金として100万円が支払われるコースでは、親が満55~59歳だと月額120円、満75~79歳だと2360円。80歳以上は加入できない。民間保険会社の保険に、同協会として団体加入することで、保険料が20%割り引かれるようにした。
本人が要介護2~5に相当すると保険会社がみなしたときに一時金が支払われる「介護サポートプラン」もある。
申込件数などはまだまとめていないが、平田さんは「昨年8月に発表した際は、多くの感謝の声が寄せられました」と話す。
問い合わせは同協会のホームページ(「フリーランス協会」で検索)から。
◆日本の政策は「会社員」前提
介護で切実に必要なのは、まず「お金」、そして「時間」だ。
会社員は年5日の介護休暇が法律で認められている。足りなければ、年93日間まで介護休業を取ることもできる。給与の67%が支給され、「お金と時間」への手当てがある。
一方、フリーランスにはこのような制度はない。「労働法の対象外なので、労災保険も雇用保険もない」と平田さんは言う。時間的にも、企業には拘束されないが、顧客には拘束される。言うほど「自由」ではない。
平田さんは「日本の福祉政策や労働政策は、企業に属して会社員になることを是としていた時代に作られましたが、人生100年といわれる時代になり、『定年後』も長くなりました。企業に依存した働き方では定年後に自立できず、路頭に迷うことになりかねない」と指摘する。
「そのためには、フリーランスも含めてどんな働き方をしていても保護が受けられるセーフティーネットが必要です」と強調する。
(三浦耕喜)
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