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【暮らし】飲み会でセクハラ…どう助ける? 工夫して「第三者介入」を

2019/02/04

 職場のセクハラは、加害者と被害者の間だけの問題ととらえられがち。被害者が声を上げるには勇気がいるが、そんな時、周りにいる第三者が適切に介入することで、行為を防いだり、被害を食い止めたりすることができる。具体的にはどうしたらいいのか。

 首都圏を中心に性暴力防止の啓発活動に取り組む団体「一般社団法人ちゃぶ台返し女子アクション」。この団体が昨年四月に発行した冊子で、第三者介入の重要性をこう指摘している。

 「性暴力が起きそうな現場や、実際に被害にあった人を見かけた時、私たちができること、それが第三者介入です」

 想定は飲み会。今にもセクハラが起きそうな場面に遭遇した場合、具体的に何ができるのか。団体代表の大沢祥子さん(27)に教えてもらった。

 酒を勧められ、酔いつぶれそうになっている人がいる。酒を強要している上司に「それぐらいにした方がいいですよ」と言ったり、被害者に「水を飲んで帰ろう」と語りかけたり。被害が深刻になる手前で、加害者と被害者の間に直接入って食い止めるやり方だ。

 ただ加害者は上司。怒りを買わないか心配。そんな人は別の方法もある。加害者に「仕事のことで相談があります」と持ち掛ける。相談された側は頼られているので悪い気はしない。

 セクハラ行為が差し迫っているが、加害者と被害者の間に入りづらい場合は、コップをわざと倒して飲み物をこぼし、片付けている間に、被害者をそこから逃がすこともできる。

 離れた場所にいる人も介入は可能だ。別のテーブルから「○○さん。聞きたいことがあるからこっちに来て」と場を離れるための助け舟を出したり、「忘れ物をしちゃった。一緒に取りに行って」と頼むやり方もある。店員に手助けしてもらう方法もある。

 第三者介入の方法は、大学生向け冊子「セクシュアル・コンセント(性的同意)ハンドブック」でも紹介。海外の大学などで採用されている方法を、団体メンバーが日本の実態にアレンジしてまとめた。冊子は団体ホームページから無料でダウンロードできる。

 被害者は周囲の無関心にも傷つくことがある。大沢さんは「周囲の人ができることはある。自分の安全確保を第一に考えて、言葉のかけ方や介入の仕方を工夫してほしい」と呼び掛ける。大沢さんは「自分から言えないのならば、加害者と年代が一緒だったり、立場が同等の第三者に頼んで、加害者に注意してもらうことも考えて」とアドバイスする。

 男性が主体となり、セクハラなどの防止に取り組む「ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン」共同代表で、関西大教授(男性学)の多賀太さんは、セクハラのない職場づくりには男性の役割が重要と説く。「男性は普段から、男女は対等な関係だと態度や言動で示していれば、セクハラが起きにくい環境をつくれる。セクハラについて関心を持って学ぶことが、無自覚的な加害者や傍観者にならないために欠かせない」と話す。

 (寺本康弘)