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【静岡】『介護職場体験』が低調 浜松全員欠席/沼津申し込みゼロ

2009/01/27

 景気悪化に伴う静岡県の臨時雇用対策として、浜松市内の施設で企画された「介護の職場体験教室」事業の参加者がなかったことが26日、分かった。沼津市で今週予定している教室も申し込みがゼロのため、開催されない見通しだ。 (静岡総局・諏訪慧)

 製造業などで職を失った人の受け皿として、慢性的な人材不足に悩む介護業などへの期待が高まっているが、労働力のシフトが簡単には進まないことを示す事例といえそうで、石川嘉延知事は同日の定例記者会見で「介護分野は低賃金という印象が強いのか。はかばかしくないのが現状だ」と嘆いた。

 県などによると、参加者がなかったのは、浜松市東区の高齢者施設「あんしんの里」で19、20日に予定していた教室。

 16日朝、県西部の元派遣労働者の男性2人と女性1人から「会社の寮に住んでいるが、近く追い出される。仕事を早く探さないといけない」と申し込みがあったが、当日は3人とも連絡がないまま欠席したという。施設の担当者は「介護の仕事の魅力をPRしようと、資料を用意していたが」と残念がった。

 職場体験教室は、派遣切りや雇い止めで職を失った人などへの対策や、人手不足に悩む介護現場の人材確保策として、1月補正予算に150万円が盛り込まれた。

 「あんしんの里」を手始めに、3月までに約30施設で予定。事業を委託された県老人福祉施設協議会(静岡市葵区)によると、今後予定している教室には19人の申し込みがあり、県西部からが11人を占めるという。

 石川知事は会見で「やりたい仕事と求人の間に差がある」とミスマッチを認めた上で、「今後、切迫性が出るに従って職業訓練の価値が出てくる」と強調。県の担当者は「製造業などから介護業へというのは抵抗があるかもしれないが、選択肢に加えてもらいたい」と呼び掛けている。