2019/01/27
一宮市で、大学・専門学校生の消防団員が増えている。年々、高齢化し、なり手不足が深刻になっていた消防団だが、市が昨年4月に「学生消防団活動認証制度」を導入して以降、学生団員が従来の3倍に増加。市消防本部総務課の帖佐義文課長(53)は「消防団活動を通じて身に付けたあいさつや規律を守って集団行動する力は、社会生活に生きる」と話す。
制度は市内の消防団に所属する大学、専門学校生が対象。1年以上活動すると、消防団長の推薦を受けて認定証の申請ができる。市長の審査に通れば、本人用の認証状と、就職活動でもPRできる認証証明書が受け取れるメリットがあり、現在、県内の21市町が採用している。
市消防本部によると、市内には25の消防団があり、19~75歳の541人が所属している。平均年齢は48歳で、制度の導入前は、大学・専門学校に通う団員は、わずか4人だったが、現在は13人と3倍に増加した。
中部大2年の沢江優希さん(20)=上祖父江=は昨年9月、「消防士になる夢に少しでも近づきたい」と萩原分団に入団。月1回の訓練に参加している。昨秋あった萩原町のチンドン祭りでは、子どもたちが消防車に乗ったり、防火服を着たりできる体験ブースを担当。「18歳以上から入団できるとは知らなかった。地域の人から『お疲れさま』『いつもありがとう』と声を掛けてもらえ、やりがいがある」と語る。
県立農業大学校2年の尾関直樹さん(20)=瀬部=は、西成北分団で活動。高校3年の時、団員の父幸二さん(46)と、団の旅行に参加したのがきっかけで入団した。初出動した民家火災で、燃える自宅を悲しそうな顔で見つめていた家族の姿が胸に残っている。卒業後も消防団活動を続けるといい、「火災で悲しい思いをする人が減るよう、もっと訓練を頑張って地域に貢献したい」と意気込む。
「私が30代後半で入団したころは、自分が一番若く、高齢の方がほとんどだった」と幸二さん。「若手が頑張ってくれると活気が出るし、刺激になる」と活動を担う若い世代の増加を喜ぶ。帖佐課長は「ぜひ皆さんの若い力、発想で消防団に新しい風を吹かせてほしい」と入団を呼び掛けている。(問)市消防本部総務課=0586(72)1193
(高本容平)
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