2018/08/30
労働基準監督署の相談員らが職場トラブルを解決に導く「個別労働紛争解決制度」を利用した愛知労働局などへの相談が、2017年度は県内で8万4466件に上り、前年度より4・4%増えた。中でも、職場でのいじめや嫌がらせに関する相談は過去最多の4577件に上り、こうした問題に悩む人たちの救済につながっている。
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同制度での相談者は、自主的に問題を解決するための助言や指導を受けたり、深刻なケースでは弁護士や大学教授ら「紛争調整委員」のあっせんを受けたりすることができる。特にいじめや嫌がらせに関する相談は増加傾向にあり、全体相談件数が過去最高(八万七千件)だった〇九年度に約2000件だったのが、17年度は倍以上になった。
愛知労働局によると、ある相談者は、上司から残業禁止を指示されながら、当日中には処理できない量の業務命令を同時に受け、「できないのは要領が悪いからだ」と叱責(しっせき)されることを苦にしていた。助言によって当事者間で話し合いがなされ、上司の対応が改善された。
別の相談者は、同僚に根拠のないうわさを立てられたことで休職に追い込まれたとして会社側に損害賠償を要求。紛争調整委員のあっせんによって和解金の支払いを受けて退職することができた。
同制度が制定されたのは〇一年度。労働局のある職員は「それ以前は相談に来た人がいても『裁判所へ行ってください』と言うことしかできず、胸が痛んだ」と振り返る。制度の周知が進むに連れて相談件数が増加し、助言やあっせんによって救済される人も増えてきているという。
労働局の担当者は「ささいな悩みでも遠慮せずに相談してほしい」と話す。相談は愛知労働局と県内14カ所の労基署内に設けられた「総合労働相談コーナー」で受け付けている。
(谷悠己)
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