2009/01/17
経営難の中小企業が倒産せずに解雇者を出さずに済むよう国が12月に創設した中小企業緊急雇用安定助成金と、拡充・要件緩和した雇用調整助成金の手続きが中部地方の労働局に殺到している。中部6県の労働局で受理した助成金利用のための実施計画は、判明分だけで計510件に上り、助成が実現すれば少なくとも3万人以上が解雇されずに済む見通しとなっている。
厚生労働省は昨年12月末、今年3月までに解雇される非正規労働者が愛知県の約1万500人を筆頭に、全国で約8万5000人に上ると発表。企業の雇用環境は悪化している。
そんな中、企業から助成金を活用するための実施計画が各地の労働局に殺到。今月中旬愛知労働局で約250件、計1万5000人分提出されたのをはじめ、岐阜で約70件、福井で約30件、滋賀で約10件が出された。
長野では集計された昨年末までの分で約130件、約8000人分に上った。三重でも約20件が出され、企業が解雇を防ぐ防波堤として助成制度を利用している様子が浮かぶ。
年末から年明けにかけて手続きが集中した愛知労働局は13日から、名古屋市中区のあいち雇用助成室内に専用スペースを設置。16日は、この日だけで100件近くの実施計画を新たに受理した。
窓口を訪れた愛知県東郷町の自動車部品製造会社の男性経営者(50)は「受注量は昨年の半分以下」と窮状を説明。約100人の労働者を抱え、二交代を日勤だけにするなど減産体制を取ったという。
「不況もこのまま続くわけじゃない。景気が回復するまでおとなしくしてます」
名古屋市内の部品製造会社の労務担当者も「仕事が毎月3割、4割ずつ減る」と説明。「雇用を維持するには国の助けを借りるしかない」と話した。
【中小企業緊急雇用安定助成金・雇用調整助成金】 中小企業緊急雇用安定助成金は、中小企業を対象に昨年12月に創設された。生産量が減少するなどして事業縮小を余儀なくされる企業に対し、従業員を解雇しないで済むよう支払った休業補償や教育訓練、出向にかかる費用の5分の4を補助する。中小企業以外が対象の雇用調整助成金は、こうした費用の半分を助成していたが、昨年12月から要件を緩和し、3分の2にまで拡充された。助成を受けるには、休業などの実施計画の提出と実際に従業員に対して手当を支払った実績が必要となる。
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