2009/01/12
投票権への関心高く
全国各地で一足早い成人式が開かれた11日、静岡県内でも新成人たちが晴れ着で式典に臨んだ。「早く一人前になりたい」「教師の道へ」「幸せな結婚生活を」など、夢を語る言葉には希望があふれたが、100年に一度と言われる深刻な不況下だけに「やりたい仕事をできるかどうか…」と雇用に不安を抱く声も目立った。
「同僚の外国人は皆、3月で契約を切られることが決まっている」。半年前から自動車ホイールの鋳造工場で働いている浜松市中区の渥美祐さん(20)は、派遣切りを間近で見ていた。「自分もいつどうなるか分からない。できることを精いっぱいやるしかない」
同市中区の会社員松本卓磨さん(20)や富士市南松野、同浜田竜也さん(20)も「仕事がめっきり減っている」と心配顔だった。
一方、就職活動中の学生からは「仕事を選べる状況ではない」と苦境が聞かれた。3月に卒業が迫る浜松市浜北区、専門学校生村松信弥さん(20)は「できれば派遣社員にはなりたくない」と言うが、現実は「とにかくどこかに決めないと」。
就職までまだ時間がある学生の場合も、不安は根強い。帰省して島田市の式に出席した岡山県倉敷市、大学生八木恵美佳さん(19)は「内定が取り消されたという話を聞くと、やはり心配になる」と言う。同じ会場にいた北九州市小倉南区の大学生田村寿宏さん(20)のように「将来は自分次第」と冷静な人もいたが、希望を聞くと「定職に就きたい」と切実な声が返ってきた。
こうした不安ゆえか、成人の証しの投票権に対する関心は高かった。
浜松市の式に出席した東京都世田谷区、専門学校生山下萌香さん(20)は「具体的な対策を提示してくれる人、自分たちの生活を理解してくれる人に投票したい」と語った。
浜松市中区の小嶋洪輝(ひろき)さん(19)も「責任を持って選挙に行きたい」と意欲的。夏に出産予定という同市浜北区、介護福祉士漆畑五月さん(20)は「子育てに優しい社会」を願った。
「僕ら若い世代の手で社会をどうにかしないと。そのためにもっと勉強したい」
浜松市の式で京都府京田辺市の久米淳さん(20)が語った決意は、荒波に乗り出す新成人たちの気持ちを代弁するかのようだった。
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