2017/02/02
政府は1日、働き方改革実現会議を首相官邸で開き、長時間労働の是正に向けた議論を本格化させた。安倍晋三首相は「罰則付きで時間外労働の限度を具体的に定めた法改正が不可欠だ」と述べ、残業時間の上限規制の政府案を今月中旬にも開く次回会合に示す方針を示した。
政府は、1年間の残業時間を720時間(月平均60時間)とし、月平均60時間に収まるのなら繁忙期は月100時間まで認める例外を設ける方向で検討している。過労死ラインとされる月80時間を短期間とはいえ超える残業を認めることになる。
出席委員による意見交換で、連合の神津里季生(こうづりきお)会長は上限時間について「月100時間はあり得ない」と述べ、厚生労働省が大臣告示として定める月45時間、年360時間を尊重するよう求めた。経団連の榊原定征会長は「上限規制は必要だが、緊急事態や繁忙期、あるいは業種によっては一律の規制が適さない場合もある」と厳格な規制には消極的な見解を示した。
終業から次の勤務まで一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル」の法規制については、榊原氏が「業務の継続性に支障を来す恐れがある」として反対したが、神津氏は必要性を強調した。
企業は労働基準法三六条の労使協定(三六(サブロク)協定)を結べば、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて残業や休日労働をさせることができる。「業務が繁忙」などの理由があれば1年のうち半年間、制限のない時間外労働も事実上可能となっている。会議では、実効性のある残業時間の上限規制ができるかが焦点となる。
【残業規制と過労死ライン】 労働基準法は労働時間を1日8時間、週時間までと規定。企業が労働者に残業をさせるには労使が合意して協定(三六協定)を結ぶ必要がある。厚生労働省は三六協定の残業を月45時間、年360時間までとしているが、労使で合意すればこれを上回ることが可能。上限に取り決めはなく、事実上青天井となっている。厚労省は脳・心臓疾患を労災認定する基準を、発症前1カ月におおむね100時間、または2~6カ月にわたり1カ月当たりおおむね80時間超の残業があったことを目安の一つとしており、「過労死ライン」と呼ばれる。80時間を下回る残業でも過労死と認定される場合もある。
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