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【長野】県内、早まる就活 説明会に学生どっと

2009/01/11

 不況の影響が雇用問題に波及する中、2010年春に向けた学生たちの就職活動の現場にも変化が生じている。不安を抱える学生たちは早めに動きだし、企業側は慎重に状況を見極め、急きょ就職説明会への参加を見合わせるところも出てきた。

 帰省する学生の冬休みに合わせて昨年末に長野市内で開かれた合同説明会。例年より1カ月以上早い時期の開催にもかかわらず、700人近くの学生が訪れた。就職活動がピークとなる例年2月の説明会の入場者数を上回った。

 主催したリクルートによると、会場では「採用が少なくなるのか」などと心配する学生が多かった。コンピューター関連の企業ブースを回った男子専門学校生(18)は「早いうちに説明会に行くよう先生に言われた。いい企業が見つかるか…」と不安げに話した。

 昨年10月から年末まで7回の合同説明会を終えた信州大キャリアサポートセンター(松本市)は「今のところ不況は学生の活動に影響はみられない」とする。が、技術職を目指す学生の多い同大工学部(長野市)の就職支援室は「企業側が様子見しているような感じがある」と説明する。

 企業から支援室に届く求人票にも変化が現れている。「いつもならこの時期に届いている会社が、今年は来ていない。逆に例年よりも早めに出している社もあり、今が(優秀な人材を採用する)チャンスと力を入れているようだ」と推測する。

 ここ数年、学生たちは大手企業への就職を希望するなど安定志向が強かった。経済情勢の急激な変化で「学生の就職に対する考え方も変わるだろう」と支援室ではみる。

 年末の合同説明会では欠席した企業のブースが目につき、信州大で先月開かれた説明会の参加企業は、前年同期の34社から22社に減少している。リクルートの担当者は、経営不振から採用を断念するだけでなく「派遣切りや大量解雇をしている手前、新たな採用を見合わせざるを得ない企業もある」と実情を明かす。

 説明会に出席した坂城町の半導体メーカーは「景気の影響は多分に受けている。採用人数は若干減る予定」と渋い顔だが、「必要な人材は採りたい」と力を込めた。

 (柚木まり)

関心のある企業のブースを訪れ、担当者(左)の話に耳を傾ける学生たち=昨年12月、長野市内で
関心のある企業のブースを訪れ、担当者(左)の話に耳を傾ける学生たち=昨年12月、長野市内で