2016/09/15
MRJ人気 整備、設計にも意欲
国産初ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の開発が進むなか、航空機産業を目指す女性が増えている。かつては客室乗務員が花形とされたが、最近は機体整備など裏方に興味を持つケースも多い。航空系の企業や専門学校も、人口減や人手不足を背景に女性が新たな担い手になるとみて熱い視線を送っている。(小柳悠志)
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中日本航空専門学校(岐阜県関市)の航空整備科3年の犬飼さん(20)、大島さん(21)はエンジン点検を終えると「飛行機に毎日触れられるのは幸せ」と声をそろえた。2人は来春卒業予定で、航空系企業の内定を得ている。三菱重工業が2008年に事業化したMRJへの期待もあり、犬飼さんは「自分の手でMRJを整備するのが夢」、大島さんは「中部地方の航空産業のすそ野が広がる様子を見続けたい」とそれぞれ語る。
航空整備科は1学年約180人のうち、女子学生は8%程度で推移していたが、MRJが昨年11月に初飛行に成功したこともあり、今年4月は女子の入学者が約6割増え、比率も13%に。企業から同校への求人数も昨年度は5年前と比べて1割増えた。
学校側は「少子化で若い人材は奪い合いになる。MRJ人気にあやかって優秀な女子にもどんどん入学してもらいたい」(遠藤英之准教授)と、女子トイレや更衣室を新設する予定だ。
世界のジェット旅客機数は今後20年で2倍に伸び、販売額は5兆ドル(約500兆円)に達する見通し。米ボーイング、欧州エアバス社も受注数に製造が追いつかない状況で、日本の航空宇宙産業の生産額で半分を占める東海地方への投資を加速させており、メーカーや航空会社は人材の確保に躍起。全日本空輸では、ここ5年で整備部門の女性採用比率が3割に達した。
航空機設計シーアールイー(CRE、名古屋市)は文系の女子大生に注目し、10年から金城学院大と提携し、コンピューター利用設計システム(CAD)の操作を学ぶ講座を開設。これまで326人が受講し、19人の入社につなげた。うち10人は技術系の仕事に従事。今や社員690人のうち、女性技術者は1割を超える。
昨年入社し、ジェット機設計に携わる鈴木さん(24)=金城学院大文学部出身=は「機体を裏で支えるのは大きなやりがい」と話す。同社は今後、中学生向けに航空機設計の魅力を紹介したり、小学生を対象にしたCADの体験イベントを充実させたりする。
CREの採用担当者は「航空産業が発展するなか、男女や文系理系の垣根をなくして優秀な人材を集めたい」と力を込める。
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