2016/07/26
若い感性に業界期待
設計士の仕事にも注目
「きつい」「きたない」のイメージがある建設や土木業の魅力を再発見して発信しよう-。名古屋市内の専門学校の生徒が夏休みを利用して、建設現場で働く人に密着し、仕事の醍醐味(だいごみ)などを伝える映像作品の制作を始めた。 (藤原啓嗣)
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テレビの番組制作などを学ぶ専門学校、名古屋ビジュアルアーツ(名古屋市中区)映像学科2年の生徒3人が22日、同市名東区の水道管工事の現場を撮影した。
「ちょっと前に下ろして」「はいオーケー」。名古屋市水道局から請け負った土木業「2友組」(同市)が古くなった水道管を、地震の揺れにも強い水道管に取り換えていく。2台のパワーショベルで地面を深さ1㍍掘り、直径30㌢、長さ6㍍の新しい鉄製の水道管を埋める様子を収録した。
新しい水道管の重さは1本400㌔。穴の中に二友組の社員が入り、パワーショベルを操作する社員と息を合わせて埋めていく。
現場責任者の安江聡さん(60)は「社員は見た目は怖そうな人が多いけれど、実は相手の気持ちをすごく思いやっている。安全に工事するために意思疎通が大切だから」と説明した。「建設した水道管が人の生活に役立つと思うと、やりがいは大きい」とも話した。
撮影班のリーダー宮田望さん(19)は「工事現場は危険なイメージがあったけど、働く人たちが作業の前に入念に声を掛け合うなどしていることを知って印象が変わった」と語った。
総務省によると、建設業界の就業者は高齢化が進んでいる上、若い人に敬遠される傾向があり、ピークの1997年度の685万人から減り続けて2014年度には400万人に減少した。若者向けに建築や建設業の魅力を発信するために、中部地方の建築と建設の70社でつくるNPO法人「建設経営者俱楽部(くらぶ)KKC」(名古屋市)は15年、名古屋ビジュアルアーツに映像制作を依頼し、学校側も快く引き受けた。生徒からも「やりたい」との声が多いため昨年に続き、今年も制作を手掛けることにした。
今年の映像制作には、同校の映像学科2年の20人が志望して参加。3班に分かれて活動している。各班の生徒はプロデューサーや監督、カメラマン、照明係などの役割に分かれる。
KKCから一班5万円をもらい、1~5分の映像作品を作る予定だ。5月から建設会社などとの打ち合わせを行い、7月から本格的に撮影を始めている。
宮田さんの班は土木工事の現場に密着。ほかの2班は、住宅の建築の仕事などを撮影している。11月にインターネットの動画サイトで作品を公表する。
KKCの降籏(ふるはた)達生代表(55)は「専門学校の生徒の若い感性で新たな魅力を見つけてほしい」と期待する。
宮田さんと一緒に撮影に励む社本(しゃもと)大樹さん(20)は「働く人にカメラで迫ると、その表情は強い責任感であふれていた。さまざまな仕事や日常生活の中で見過ごされがちな事象に光を当てることが映像の重要な仕事だと分かった」と話していた。
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