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【岐阜】自分のペースで「5分でも」障害者向け就労支援事業所

2016/04/22

岐阜の熊谷さん 自宅で開業

 岐阜市花沢町の精神保健福祉士、熊谷久子さん(64)が今月、自宅に就労継続支援B型事業所「ふぁーすと」を開いた。利用者は簡単な作業を通じて一般就労を目指す。(督あかり)

 B型事業所とは、障害者らが雇用契約を結ばずに自分のペースで働く施設。市内では30カ所目。ふぁーすとは18~64歳の障害者が対象で、定員は20人。熊谷さん宅1、2階の一部98平方メートルで、製品のタグ付けや組み立てなど簡単な作業を行う。着物の切れ端でお手玉などの小物を作り、フリーマーケットで販売する。午前9時半~午後3時半に開き、1日につき決まった作業量はない。見学に来ていた各務原市の男性(53)は、17歳の時に統合失調症を発症。「“働け働け”と言われるとおっくうだけれど、ここなら安心して来られそう」と話していた。

 熊谷さんはこれまで福祉施設に勤務。自身も、精神障害者の家族会に入っている。1日に障害者差別解消法が施行されたが、「家族が突然精神障害などを発症した場合、親や親戚に言えず、外に出られなくなる人が多い。5分でもやれば良いので気軽に来てもらえれば」と話す。

 職員は、熊谷さんのほかに、障害のある人自身が利用者を介助する「ピア・ヘルパー」やヘルパー二級、栄養士などの資格を持つ4人。いずれも家族に障害のある人たちばかり。(問)熊谷さん=090(6578)9838

作業場で会話をする熊谷さん(中)ら職員=岐阜市花沢町のふぁーすとで
作業場で会話をする熊谷さん(中)ら職員=岐阜市花沢町のふぁーすとで