2016/04/15
中部地方の金融や外食の業界で、留学生らを登用する動きが広がりつつある。十六銀行(岐阜市)は4月、新卒の総合職として初めて採用。和食レストランのサガミチェーン(名古屋市)はドイツ人留学生のインターンシップ(就業体験)を受け入れた。訪日外国人の増加や海外展開の加速をにらみ、非製造業でも「内なる国際化」が進んでいる。(石原猛)
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◆十六銀 新卒総合職に外国人
十六銀に入行したのは、いずれも中国人で愛知大卒の張毅駿さん(25)と、名古屋大院修了の仲守珍さん(28)。一日の入行式で張さんは「留学中に飲食店でアルバイトをし、多くの人に助けられ、日本で働きたいと考えるようになった」と語った。他の新入社員と同じ研修を受けた後、張さんは名古屋営業部、仲さんは本店営業部にそれぞれ配属される。
国内業務が中心の地銀では、新卒の総合職として外国人が採用されるケースは珍しいという。「お金を取り扱うため、就職する際の保証人の問題などもある」(ある地銀関係者)ためだ。
一方で、十六銀は今月、岐阜県内で初めての外貨両替専門店を開設するなど、増え続ける訪日客向けのサービスを強化している。海外事業の拡大を希望する取引先も多く、広報担当者は「外国人としての力を発揮してもらう場面が多くなる。中国出身の二人と接する他の行員にも良い刺激になる」と説明する。
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◆サガミ 留学生インターン
外食業界では、人手を確保するため留学生らをアルバイトに雇う一方、国内の少子化を背景に海外出店を強めている。
サガミチェーンは3月、ドイツから名古屋大に留学中のテシュナ・タマーラビオーラさん(20)を就業体験に受け入れた。
今月12日からイタリア・ミラノにテスト店舗を出すなど、欧州進出への準備を本格化させており、鎌田敏行社長は「日本とは異なる文化圏に進出する際には、その国の人々を知ることが最も大事。社員が欧州の文化を学ぶきっかけにしたかった」と狙いを語る。
テシュナさんは3週間の日程で接客を手伝ったり、外国人向けのPRビデオに英語で店舗案内を吹き込んだりした。鎌田社長は「短い期間でも貴重な機会になった。機会があれば、また受け入れたい」と話す。
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