2016/04/04
仕送りが減る傾向にある中で、就職活動とバイトの両立に悩む大学生が増えている。就職活動に時間を割くには、バイトを減らさざるを得ないためだ。「バイト先が勤務時間を減らしてくれず、就活に影響が出た」というトラブルも起きている。 (諏訪慧)
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「就活との両立は体力的に厳しいけど、バイトを辞めるわけにはいかない」
名古屋市内の大学に通う4年生の女子学生(22)は話す。実家を離れて一人暮らしをしているが、親に負担してもらっているのは家賃のみ。光熱費や食費、携帯電話代金など10万円余は自分で稼ぐ。
以前は2つのバイトを掛け持ちしていたが、会社説明会が解禁された3月から1つに絞った。説明会のため東京や大阪に行くこともしばしばだが、高額な新幹線は避け、できるだけ夜行バスを使って節約する。就活を見越して1年前からこつこつためた約50万円を取り崩す。
就活に伴う勤務日数削減を認めてくれないためバイトを辞めた友人もいる。「生活費の多くを自分で稼いでいる私に、辞める選択肢はない。7月までには内定を得たいです」と話した。
一方、関西地方の大学生でつくる労働組合「関西学生アルバイトユニオン」(大阪府茨木市)によると、大阪府内のコンビニで働いていた当時4年の男子学生は「就活の時期は勤務日数に配慮する」と口頭で約束して働き始めたのに、昨年8月に就活が本格化しても勤務日数の削減は認められず、企業の採用面接を断念した。退職を申し出ると、研修費名目で10万円の損害賠償を求められ、「賃金を払わない」と言われた。
学生が働いていたのは大手コンビニのフランチャイズ店。この学生のほかにも同様の相談が寄せられ、同ユニオンなどはフランチャイズ店を展開する会社と交渉し、就活などを理由とした休職や勤務日数削減を認め、損害賠償請求をしないことなどを盛り込んだ労働協約を今年2月に結んだ。
ユニオン事務局長の大阪市立大3年、岡樹志(たつし)さん(21)は「学生は経験に乏しいため、異常な勤務状態や請求を当たり前と思い込み、受け入れてしまうことが少なくない」と話す。就活とバイトの両立を巡っては、「声を上げられず、悩んでいる学生は多いはずだ」と指摘する。
◆手厚い支援の企業も
自社の居酒屋でアルバイトをする就職活動中の学生を対象に、手厚い支援を展開する企業もある。居酒屋「塚田農場」などを展開する「エー・ピーカンパニー」(東京都港区)は、勤務日数の削減に応じるのはもちろん、自己PRの方法をアドバイスしたり、エントリーシートの書き方を指導したりしている。
就活支援を始めたのは3年前。「就活で大学生アルバイトに大量に抜けられると影響が大きい」と考えた。取り組みは口コミで広がり、応募と定着率が向上。アルバイト1人を採用するのにかかる経費は2~3万円で、「他社よりも大幅に抑えられている」(広報担当者)という。
3月中旬には、食品製造販売会社や情報通信会社など社を招いて、会社説明会も実施した。4年生の川瀬崇史さん(22)は「会社説明会を開くバイト先なんて他になく、友達にうらやましがられます」と話す。
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