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【地域経済】トヨタ系「育てイクメン」

2016/02/23

アイシン精機/理解ある上司へ「塾」
トヨタ/労組が支援策を要求

 トヨタ自動車グループで従業員らの仕事と育児の両立を目指す動きが広がっている。アイシン精機(愛知県刈谷市)は昨年、部下の育児参加に理解のある上司を育てようと、社内に「イクボス塾」を立ち上げた。トヨタ本体も労組が2016年春闘で、男性の育児参加の視点を踏まえた施策の充実を経営側に初めて要求した。(平井良信)

 ◇ ◇ ◇

 アイシンの育児休暇取得率は、男性が技能系で0.86%と、女性の97.3%に比べて大きく遅れている。昨年9月に設置した「イクボス塾」は、各部門の課長以上の管理職22人が参加。男女を問わず育休取得を促すにはどうしたら良いかを議論している。

 1年かけて理想のイクボス像をつくり、各職場で実践を促す。イクボス塾で話し合った内容は、すべての管理職にメールで配信し、参加者以外にも情報共有していることも特徴だ。

 アイシンは、育児のため所定労働時間を短縮できる制度について、法律で規定のある3歳未満を独自に小学3年生まで拡大した。前日に上司に報告するだけで時短勤務が可能で、広報担当者は「男性の利用者も増えてきている」と話す。

 一方、トヨタ労組は今春闘の働き方の要求で、男性の育児参加の必要性を盛り込んだ。「男性が育児に参加することは家庭の安心・安全につながる」として、16年度中に労使で専門委員会を設けることを求めている。

 トヨタの男性社員の育休取得者は13年で18人、14年で10人にとどまっている。労組は「まずは男性でも取りやすい職場の雰囲気づくりから始めていきたい」と話している。

 国は、男性の育休取得率を現在の2.3%から17年度に10%、20年度に13%に引き上げることを目標にする。製造業が集積し、保守的な土地柄の愛知県内の取得率は1.6%と全国平均を下回っており、トヨタグループがけん引役になることが期待されている。

部下の育児に理解ある上司を目指し意見を出し合うアイシン精機の「イクボス塾」=愛知県刈谷市で
部下の育児に理解ある上司を目指し意見を出し合うアイシン精機の「イクボス塾」=愛知県刈谷市で