2009/01/06
団塊の世代の大量退職が続く中、愛知県警が若手の育成に本腰を入れている。各署では、ベテランが教師役になり、若手を育てる「実践塾」が開かれ、捜査の現場で培ってきた技を伝授。「背中を見て盗め」という職人的イメージが強い警察の若手指導の現場が変わりつつある。
名古屋・中村署の地下駐車場。鑑識係の清水和男警部補(56)が、若手に車に付いた指紋を浮き上がらせ、フィルムに写し取る作業を教える。車上狙いを想定した訓練。採取後、日時や場所を記入し、「証拠化」するまで、手取り足取りだ。
同署の実践塾は1年前に“開講”。秀吉の出身地にちなみ「太閤塾」。火災の講義では証拠を壊さないようがれきを慎重に取り除くよう指導したり、燃え方が激しい場所を捜し、たばこやストーブなど火元を見つける捜査の基本を教えた。「実体験することが近道」(同署)という。
同署は約200人の地域課員のうち、実務経験が2年以下の若手は80人と、約40%を占める。
鑑識志望の今井淳史巡査(24)は「先輩の技術を盗みたい」と目を輝かせた。清水警部補も「種をまけばいつか花開く」と話す。
県警は昨年初め、地域課の若手育成のための「伝承教養官制度」を全署に導入。500人以上のベテランを指定し、実践塾を設置した。「若草塾」(名古屋・南署)「夜叉(やしゃ)丸塾」(津島署)と名前もユニークで、全国から問い合わせもある。
県警は本年度、大量退職のピークを迎え、700人が現場を去る。ここ数年、毎年700人以上を採用。30歳以下の警察官の割合は34%で10年前のほぼ倍になり、「警察力の底上げ」が課題だ。
県警は昨年10月、「若手育成推進室」を立ち上げた。教養課は「今、やらなくては今後、大変なことになる。育成の仕組みづくりが重要だ」としている。
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