2015/12/08
名古屋市内の大手タクシーグループが、高級車の導入などの新サービスや優良運転手チームの拡充といった改革を相次いで打ち出している。業界では運転手の高齢化が進んでおり、「働きがいのある職場」をアピールすることで、若い人材の確保につなげる狙いもある。(小柳悠志)
「ハイクラスタクシー」と銘打ち、11月にトヨタ自動車の「アルファード」と「クラウン」のハイブリッド車を計十台導入したのは宝グループだ。シートはいずれも革張りながら、初乗り料金は大手他社と同じ500円。「お手ごろにワンランク上の乗り心地が楽しめる」との触れ込みだ。
運転手の意欲を高める狙いもある。「何もしなければ人手が集まらず、サービスも低下する」と担当者。400台以上を走らせる同社の運転手の平均年齢は50代だが、「ハイクラス」は20~30代を中心に選抜した。
一方、約1200台を所有する最大手、つばめタクシーグループは、接客態度や運転技術が優秀な運転手を集めた「チームエクセレント」を拡充した。チームの態勢は現在300人・180台で、2007年の発足当時から6倍に。顧客が予約時に「エクセレントで」と指定するケースも増え、運転手にとっては収入アップの励みになっている。
約1100台を所有する名鉄タクシーグループは年内に、市内を走るグループタクシーの社名表示灯のランプ色を従来の緑から白に変え、イメージの刷新を図る。
さらに近く、グループ傘下の名鉄交通の4つの営業所の収支管理をそれぞれに独立させる。営業所ごとに「おもてなし」を競わせ、グループ全体の売り上げ増につなげる狙いだ。
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◆企業節約で利用減
タクシー業界を取り巻く環境は厳しさを増している。企業の経費節減などを受け、利用客が減っているためだ。
愛知県のタクシー事業者(法人)はバブル全盛期の1988年に169社あったが、2013年は155社に減少。88年に1073億円あった県内の売上高も、13年は711億円と約35%減った。
運転手不足も目立つ。愛知労働局によると、タクシー運転手らの10月の有効求人倍率は2・98倍で、平均の1・55倍を大きく上回る。所有車両の稼働割合を示す実働率も88年の92・5%から、13年は77・9%に落ち込んでいる。
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