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【社会】パート賃上げに助成金 来年4月導入「130万円の壁」対策

2015/12/08

 塩崎恭久厚生労働相は7日の経済財政諮問会議で、パートの主婦らが年金などの社会保険料を負担しなくて済むよう働く時間を抑える「130万円の壁」対策として、パートで働く人について、2%以上賃上げしたり、週5時間以上勤務時間を増やしたりした企業に助成金を支給すると表明した。企業が雇用しやすい環境を整え、パートの収入を増やすことで壁を意識せずに働くことを促す。

 来年4月から段階的に導入し、期間は4年。対象は20万人程度を見込む。安倍晋三首相は「短時間労働者の労働時間や賃金を増やし、手取り額が増えていくことを期待する」と述べた。

 会社員や公務員の夫に扶養される主婦らは年収百30万円以上だと、自分で年金などの保険料を払う必要があり、女性の積極的な就労を妨げる一因となっていた。

 保険料負担が生じても手取り収入が増えるよう、雇用保険の「キャリアアップ助成金」を拡充する。賃上げや勤務増で、給付の手厚い厚生年金や健康保険へ加入させる企業が対象。企業も人材確保につながり、新たに生じる保険料負担は軽減できる。人数や賃上げ幅などに応じ、企業は最大600万円を受け取れる。

 塩崎厚労相は、時給1000円で週20時間働いて年収104万円のパート主婦が時給1030円、週25時間勤務に見直されるケースをモデルとして提示。年収は133万9000円、新たに払う保険料を差し引いても手取り額は114万5000円に増えるとした。民間議員からは、助成額や対象人数の上積みを求める意見も出た。

 来年10月から厚生年金の加入対象が拡大され、従業員501人以上の大企業では「年収106万円以上」などの要件に緩和される。政府は中小企業でも労使が合意すれば加入できるよう、法改正を目指す。

【130万円の壁】 会社員や公務員の配偶者に扶養されるパートなどの主婦らは保険料を払う必要がないが、年収が130万円以上になると厚生年金や健康保険の保険料負担が生じる。働く時間を抑えることにつながり、女性の社会進出を阻害する要因として、安倍政権は見直し課題に位置付ける。また、年収が103万円以下だと世帯の税負担が軽くなる配偶者控除を受けられる。この額でも就業調整が行われており、「103万円の壁」といわれている。