2015/11/03
今年の就活で主要企業の選考解禁日が、昨年よりも4カ月後ろ倒しの8月になった理由の一つに、海外へ留学した学生のスケジュールへの配慮がある。海外の大学は6月の卒業が多く、夏前に帰国した留学生が面接などの選考に間に合った。内定を得た学生からは「解禁日が遅らされて良かった」との声が聞かれる。
南山大(名古屋市)の外国語学部スペイン・ラテンアメリカ学科四年田中千尋さん(22)は、昨年8月から今年5月末まで、米国のサンディエゴ州立大に留学。スペイン語や、米国在住のヒスパニック系の外国人が選挙権などを獲得した歴史を学んだ。6月に帰国して就活を始め、愛知県清須市のトヨタグループの自動車部品製造「豊田合成」に内定した。
留学先では、外国人だからと特別扱いしない学生や教授たちの姿勢に刺激を受けた。日本の倍くらいあるテストをこなしながら、学友との寮生活も楽しんだ。
米国で多くの日本車が走る姿を見て、世界に誇る製品を作っている日本メーカーに就職したいと思うようになった。帰国後、メーカーを中心に30社に応募した。
内々定をもらったのは8月上旬。学内で開かれた合同企業説明会で「スペイン語を勉強している君に活躍の場がある」と豊田合成の担当者に声をかけられ、熱意を感じた。面接を受けるきっかけになった。
田中さんは「昨年までの日程だと帰国したらほとんどの企業の採用は終わっていたかも。短期間で、集中して取り組めたのも良かった」と振り返る。
豊田合成は18の国や地域に65のグループ会社があり、2014年度の海外での売上高が4092億円と全体の56・2%を占める。育成のために30代前半で1年間海外で働く制度もあり、海外での仕事を重視している。同社は昨年まで、海外に留学した学生が選考時期で不利にならないよう留学生採用枠を設けていた。
採用担当の丹羽由香利さん(37)は「留学した学生が帰国後にいろんな企業を見て回る機会があるのは、好ましい。内定した学生も豊田合成が好きで選んでくれたんだと感じる」と話している。
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