2015/10/07
周辺業者確保へ対策
米国発祥の人気量販店「コストコ」が11月、県内初出店として「岐阜羽島倉庫店」を羽島市の岐阜羽島インターチェンジ近くに開業する。正社員やパートなど地元で300人以上を雇用する予定で、最低でも時給1200円という好待遇が話題を呼んでいる。人手不足に悩む羽島市や岐阜市などのスーパーでは、対抗して時給を上げるところも出てきた。
店を運営するコストコホールセールジャパン(川崎市)が、10月10日まで続けるオープニングスタッフの面接会。羽島市文化センターの会場には、希望者が続々と詰めかけた。
面接を終えた大垣市の20代女性は「小売業で職場探し中。コストコは時給も高いし、これまでにない売り場の雰囲気が楽しそう」と意欲を見せた。
岐阜羽島倉庫店の矢部充彦店長(44)によると、高い時給は他社を意識したのではなく、国内23店舗のどの店で働いても一律にするためという。「11月20日を目標にしているオープンに向け、スタッフ集めは順調。良い人材をさらに確保したい」と語った。
パートがコストコに移っていったり、求人への応募が減ったりすることを懸念する周辺の業者の中には、対策に動きだしたところもある。岐阜市内の食品スーパーは9月、パートの時給を850円から950円に上げた。「コストコに限らず、時給を上げないと人が集まらない」。担当者は人手不足に頭を悩ませる。
岐阜労働局によると、販売業務のパートの時給は、県内で平均846円。羽島市内のコンビニやスーパーも、850円が相場となっている。コストコの時給は、そのほぼ1・5倍になる。
中部地方の1号店となるコストコ中部空港倉庫店が2013年8月にオープンした愛知県常滑市でも、この2年間で地域の賃金は上がったという。
常滑商工会議所の山田東(あずま)事務局長(56)は「10年前に中部国際空港ができてからパートの時給が徐々に上がり、コストコがオープンしてからはコンビニなどで時給1000円が普通になった。市内の居酒屋や製造業などが、求人に苦労している」と話す。
一方で、「コストコができ、地元の中小企業の経営者が従業員の賃金や働きがいを意識するようになったのは良い点だ」と山田事務局長。「日本はこれから人手不足社会になる。コストコ進出を契機に社員が定着する企業努力を進めれば、それぞれの地域の強みになる」と述べた。 (大島康介)
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