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【社会】短い周知 混乱懸念 改正派遣法あす施行

2015/09/29

 働く人を交代させれば企業が派遣労働者を使い続けられるようにする改正労働者派遣法は30日、施行される。改正法成立から施行まで3週間足らずで、厚生労働省は国民から広く意見を聞くパブリックコメント(意見公募)を3日間で打ち切った。周知期間も短く、契約更新を迎えた労働者がトラブルに遭うなど混乱する懸念もある。(鈴木穣)

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 改正法は、現在最長3年となっている同じ職場で派遣を受け入れられる期間の制限をなくす。企業は人を入れ替えれば派遣を雇い続けられる。労働者は、直接雇用に結びつかず派遣として職場を転々とすることを強いられかねない。

 業務区分もなくすため、通訳など専門的な26業務も最長3年しか働けなくなる。今後は3年で雇い止めになる不安が広がる。

 直接雇用につなげる雇用安定策やキャリアアップ支援策も盛り込まれたが、実効性を疑問視されている。

 10月から始まる「労働契約申し込みみなし制度」は、派遣の期間制限違反など違法な行為をした企業に、直接雇用を義務付ける労働者の救済制度だったが、改正法施行で違法でなくなる仕組みのため直接雇用につながらなくなる。

 みなし制度は企業側の規制となるため、政府は、9月中の改正法施行を求める経済界の都合を優先して改正法成立を急いだ。施行まで間がなく、ルールでは原則「30日以上」の期間を設ける意見公募も3日間のみ実施。国民の意見を十分に聞いたとは言い難い。

 厚労省は30日に都道府県の各労働局に働く人向けの相談窓口を設ける。だが、改正法の周知も十分とはいえず、派遣の契約更新を迎えた現場では就労条件などをめぐり混乱が心配される。

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 日本労働弁護団は30日午後1時から9時まで、派遣労働者のための電話相談を実施する。電話番号は03(3251)5363または03(3251)5364。