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【地域経済】東海の企業でも“朝型勤務”反応良好 課題も

2015/07/02

「1社では無理」 過去に取りやめ例

 通常より早い時間に出社する代わりに定時退社することで長時間労働を抑えようと、政府が呼び掛ける朝型勤務が1日、東海地方でも一部企業で始まった。ただ、先行導入しながら取りやめた企業もあり、普及には社会全体の取り組みが必要との指摘もある。(石井宏樹、稲田雅文)

 トヨタ自動車グループで初の取り組みとなったデンソー(愛知県刈谷市)では、本社の事務系や技術系の従業員ら1万3000人を対象に、通常よりも1時間早い午前7時40分の出社を呼び掛けた。初日は普段の3倍にあたる約4千500人が同時刻までに出社した。

 導入理由は、仕事を早く終わらせて家族で過ごす時間を増やし、涼しい時間帯に働くことで省エネにもつながると考えたためだ。朝型勤務を促すために午前7時から社員食堂に無料の朝食を用意した一方、午後8時以降の残業を原則禁止した。9月末まで実施する予定で、山内啓市人事部長は「予想を超えて多くの人が早い時間に出社している。社員が仕事のやり方を考える契機にしてほしい」と話す。

 名古屋銀行(名古屋市)も通常の勤務時間より1時間早い7時45分に出勤し、残業をなくす朝型勤務を今月のみ試行。勤務時間の前倒しは東海3県の地方銀行で初めてで、初日は行員2800人中、100人が朝型勤務した。

 西尾支店(愛知県西尾市)で外回りの営業を担当し朝型勤務を体験した近藤芳史さん(42)は「朝の時間帯は電話もかかってこないので、仕事に集中できた」と効果を語る。支店の窓口や現金自動預払機(ATM)などの営業時間は変更しないという。

 一方、工作機械メーカーのDMG森精機(名古屋市)は、東日本大震災後の2011年4~9月に勤務時間を1時間半早める朝型勤務を導入したが、13年以降は実施していない。

 広報担当者は「省エネや通勤時間の短縮で効果はあったが、取引先や子どもの学校など周りの環境とのずれがあった。(朝型勤務が広がるには)社会全体がわる必要があり、一社だけで続けていくのは難しい」と話した。

午前7時すぎに出社する従業員ら=愛知県刈谷市のデンソー本社で
午前7時すぎに出社する従業員ら=愛知県刈谷市のデンソー本社で