2008/12/24
名古屋市のJR名古屋駅前にそびえる247メートルの高層ビル、トヨタ自動車が入るミッドランドスクエア。昨春オープンし「元気な名古屋」を象徴した。そのひざ元で23日、愛知、三重両県で自動車関連企業などから派遣契約を打ち切られた労働者や、支援する労働組合関係者ら約200人が雇用創出や住宅確保を求めてデモ行進した。
自動車用ゴム製造会社の減産で「派遣切り」に遭った鳥取県出身の男性(30)=愛知県小牧市=はミッドランドスクエアを見上げて言った。「建てる時に派遣を使ってもうけた金も入ってたんでしょうね」
男性は今年2月、上司との折り合いが悪く名古屋市の旅行会社を退職。当面の仕事を見つけるため派遣会社に登録した。当時、愛知県の求人倍率は1・87倍と全国トップ。「履歴書さえあればどこでも雇ってくれた」
しかし、契約期間の1年もたたない先月20日、「減産だけど、どうしますか」と暗に解雇を告げられ、今月19日で契約が打ち切られた。労組に相談して交渉の末、1月末まで社宅に住めるようになったが、再び派遣になるつもりはない。「途中で簡単に人を切る。もう少し人間として見てほしかった」とデモに参加した。鳥取に戻って、再び旅行関係の仕事をするため職を探しているという。
デモの列が、1階にブランド店も入るミッドランドスクエア横で信号待ちで止まった。クリスマスの買い物だろうか、カップルや家族連れが行き交う。
「日本に来て一番悪いクリスマスね」。デモ参加者の一人、愛知県豊田市で暮らす日系3世のブラジル人ソウザ・サンデルさん(34)はつぶやいた。「テレビゲームがほしいと言っているけど無理だろうな」と、6歳の長女と5歳の長男の顔を思い浮かべた。
12年前にブラジル・サンパウロ市から来日。自動車部品工場で機械オペレーターとして勤めていた。先月18日、12月末での解雇を告げられた。「12年間も勤めたのに」と悔しさをにじませる。来日後に結婚もし、日本に永住を望む。「妻が働いているからとりあえずのお金は大丈夫。仕事が見つからなければブラジルに帰るしかない」。だがブラジルに仕事があるか、どこにも保証はない。
(中日新聞)
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