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【地域経済】職場発泣き笑い/万引見張って神経戦

2015/03/31

 定年退職した後、名古屋市内の百貨店に再就職した60代のカズさん。保安担当として、店内で起きるさまざまなトラブルに対応しつつ、最も神経を使っているのが万引だ。犯人たちとのいたちごっこの日々が続く。

 ◇ ◇ ◇

 朝出勤し、各売り場から上がってくる前日の報告書に目を通すのが日課です。被害報告があったら「またやられたか」と反省しています。狙われるのはブランドのバッグや宝飾品、高級腕時計など。百貨店が扱っている商品は高額ですから、被害は深刻です。

 万引は「現行犯」で犯人を取り押さえるしかありません。胸の社章と名札を外し、店内の巡回に出ます。カバンを提げて歩いたり、商品を手にとったり。60歳すぎのおじさんが売り場に突っ立っていると、怪しまれますから。

 最近は防犯カメラの性能がアップしています。犯人はだれだったか、後で映像を見れば分かります。顔もばっちり写るので、それを写真にして関係社員らに持たせています。

 犯人の態度にあきれることもしばしばです。「つい出来心で」「払うつもりだった」という言い訳は序の口。店内で大暴れする男もいますので、取り押さえるのにひと苦労します。どんな理由であれ、犯人は警察に突き出します。万引は窃盗という犯罪ですから。