2015/03/18
県警が若手の人材確保に苦慮している。採用試験の応募者数は10年前の4割に落ち込み、内定者が直前に辞退するケースも相次ぐ。民間や別の官公庁との争奪戦に加え、学生に「仕事がきつい」との印象を持たれていることが原因とみられ、県警は職場体験型の説明会を開くなど打開策に力を注いでいる。(鈴木龍司)
「治安を守るやりがいのある仕事。厳しい警察学校の生活も仲間と支え合えば乗り切ることができる」「給与は安定し、福利厚生も充実している」-。名古屋・中署が2日、来年春に大学や高校を卒業する学生らに開いた説明会で、“先輩”の署員が優しく語り掛けた。学生ら60人が参加し、指紋を採取する鑑識作業や逮捕術の体験もあった。
中京大3年の中川友斗さん(21)=岐阜県養老町=は「体力的に仕事に耐えられるか心配だった。警察官は話しやすい人柄で安心した」と話した。
県警は春の採用試験を見据え、2~3月に県内33署で同様の説明会を企画。2011年度から始めた説明会に、より力を入れるようになった。04年度は大卒、高卒合わせて700人の募集に8181人の応募があったが、14年度は625人の枠に3322人しか集まらなかった。さらに最近は内定者の2~3割が就職前に辞退している。
県警警務課は要因を「警察は業務が厳しく、自由がないなどの印象を抱かれがちだ。公務員志望でもほかの役所を優先する学生が多い」と説明。実際、名古屋市の事務職と消防職の応募者(大卒)は最近10年間で微増している。
また、08年のリーマン・ショック後、採用を減らす民間企業が目立ったが、最近は増員傾向。県警は今後、体験型の説明会や現職警察官による後輩への勧誘を強化する。警務課の担当者は「応募者の減少は質の低下につながりかねない。優秀な人材を確保するため、警察官の魅力の発信に努めたい」と話している。
県警の15年度春の採用試験(大卒程度)の受け付けは4月1~17日まで。(問)県警警務課採用係=052(961)1479
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから